今夏は各地で最高気温40度以上の酷暑日が観測される中、企業が現場で働く社員の熱中症対策に力を入れている。建設会社は作業時間を「朝型」にシフトするほか、鉄道会社は駅員らの制服に通気性の高いポロシャツを導入する。
大林組は7~8月の建設現場の作業時間を午前7時~午後1時とする。通常は午前8時~午後5時だが「熱中症リスクのさらなる低減を図る」としている。工期に影響が出る場合は、気温の低い時期に作業時間を延長するなどして対応する。
JR西日本は5月から現場で保守・点検などを担当する作業員に、熱中症関連の情報を閲覧できる自社開発アプリを提供。各現場での取り組み事例や対策グッズなどを共有する。9月以降、駅員や乗務員約1万5000人に半袖ポロシャツの制服を試行導入する。従来の半袖シャツのデザイン性を保ちつつ、通気性や吸汗性を向上させた。
西武鉄道は、山岳エリアで作業する係員の休憩所として、エアコンや冷蔵庫などを備えたキャンピングカーを活用。これまでの休憩所は往復約40分かかる場所もあるといい、作業効率の向上にもつながる。
にぎわいを見せる商業施設でも対策が進む。松屋銀座(東京都中央区)の屋上のビアガーデンは、従業員が体の温度変化を可視化できる「示温(しおん)シール」を腕に貼って営業。一定の温度に上がると、ピンク色で人のイラストが浮き出る仕組みで、提供するファンケル(横浜市)と1カ月実証する。従業員の下村みず紀さん(23)は「特にキッチンは暑さがこもる。色が変化すると、水を飲もうと意識することが増えた」と話す。
昨年の労働安全衛生規則改正で、事業者には熱中症対策が義務付けられた。帝国データバンクが7月に実施した調査によると、酷暑日・猛暑日で業務に「支障が出た」と答えた企業の割合は50.0%に上っており、効果的な対策が急務となっている。
〔写真説明〕JR西日本が駅員らの制服に導入する半袖ポロシャツ(同社提供)
〔写真説明〕キャンピングカーで休憩する西武鉄道の係員(同社提供)
〔写真説明〕松屋銀座の屋上ビアガーデンで「示温シール」を腕に貼って働く従業員=6日、東京都中央区