10年前は「13日」で復旧したのに… 九州新幹線が1か月以上も動けない、前回の熊本地震との「決定的な違い」とは?

紫外線対策「目の防護」も重要に

2026年7月の地震により、大きな被害を受けた九州新幹線。10年前の熊本地震ではわずか13日で全線復旧したにもかかわらず、今回は「1か月以上」を要する見込みです。復旧を阻む“決定的な違い”、実は2つありました。

「13日で全線再開」だった10年前と、なにが違うのか?

 2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」は、熊本県で最大震度7を観測し、九州新幹線にも大きな被害をもたらしました。

 地震の直後、九州新幹線は博多~鹿児島中央間の全線で運転を見合わせました。その後、博多~熊本間は7月31日に、新水俣~鹿児島中央間は8月7日に運転を再開しましたが、あいだの熊本~新水俣間は動けないままです。

 JR九州は、この熊本~新水俣間について8月中の運転再開は困難との見通しを示しています。並行する在来線の鹿児島本線も宇土~八代間が不通のままで、同社は同じく8月中の再開は困難としています。

 同社によると、鹿児島本線では、架線の断線やレールの歪み、電柱の損傷などが確認されました。また、駅構内や新幹線の車内では、合わせて12人がけがをしています。

 実は10年前は、被害の性質が違いました。2016(平成28)年4月14日の地震では回送中の新幹線が脱線しましたが、国土交通省は構造物について致命的な損傷はなかったとしています。九州新幹線は13日後の27日に全線で運転を再開しました。

 一方で今回は、線路を通す橋りょう(橋)やレールそのものに大きな変状(変形やゆがみ)が出ています。カギは「壊れた場所」にありました。

レール破断、橋桁ずれ…10年前と違う被害の中身

 JR九州によると、新八代駅ではレール破断が2箇所と橋桁のずれが1箇所見つかり、熊本~鹿児島中央間では防音壁の落下や損傷などが200箇所以上確認されました。同社の資料では、破断したレールのすき間が50cm以上開いた部分も示されています。

 とりわけ復旧を難しくしているのが、日奈久(ひなぐ)断層帯と線路が交わる付近です。同社は、この交差部で地盤の変状が起きたと推定し、それによって橋りょうやレールに大きな変状が生じたとしています。

 現在も詳細な調査や復旧作業が続いており、同社は復旧には大幅な時間を要する見込みとしています。

 もっとも、復旧を長引かせている要因は、壊れた場所だけではありませんでした。もう一つの要因が「余震」です。

 今回、余震が復旧作業に影響した例もありました。7月30日時点でJR九州は、筑後船小屋~熊本間の運転再開について、余震により時間を要しているとしています。気象庁によると、本震から約2時間半後にも熊本県熊本地方で最大震度5弱の地震が発生しました。

 損傷した部分が多いなかで揺れが続けば、点検や復旧の作業も慎重に進める必要があります。

 2016年の脱線後、同社は脱線防止ガードの追加整備を進めました。国土交通省の資料では、車両が脱線した周辺の約14kmに設置していく計画が示されています。この時の教訓は安全対策に生かされる一方で、今回は橋りょうやレールの大きな変状という別の課題が生じています。

 復旧までに要した日数が、10年前は「13日」で済んだのに対し、今回「1か月以上」もかかっている。この差は、地震の大きさだけでなく、線路や橋りょうがどう壊れたかの違いにあります。余震が続くなか、被害を一つずつ確かめて復旧方法を決める作業が続いているのだと言えるでしょう。