日伊と開発する新型機が出ても「タイフーン」は使い続ける! 大幅なアップデート施す英国の狙いとは?

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イギリス防衛企業であるBAEシステムズは、ユーロファイタータイフーンの長期的な能力向上構想を紹介しました。なぜ長期運用にこだわるのでしょうか。

GCAPが完成しても「タイフーン」は残る?

 新しい戦闘機が完成すれば、それまで第一線を担ってきた機体は徐々に姿を消す――。そんな常識とは少し違う未来像が、イギリスで開催された「ファーンボロー国際航空ショー2026」で示されました。

 イギリス防衛企業であるBAEシステムズは、ユーロファイタータイフーンの長期的な能力向上構想を紹介しました。英国政府は追加で11億ポンドを投じ、自国のタイフーンを2040年代まで運用する方針です。一方でイギリスが日本・イタリアと共同開発する次世代戦闘機「GCAP」は2035年の就役を目標としており、しばらくの間は両者が並行して運用されることになります。

 ユーロファイター共同開発4か国で進められている能力向上計画「LTE(Long Term Evolution)」では、新しいコックピットやミッションコンピューター、通信機器、飛行制御・兵装管理システムなどを段階的に導入し、機体の処理能力や拡張性を大幅に高めます。登場から四半世紀近くが経ったタイフーンを、「完成した戦闘機」ではなく、新しい技術を継続的に取り込めるプラットフォームへ進化させようという考えです。

 ただし、改修内容は各国で共通ではありません。LTEは共同開発国全体で進められる能力向上の枠組みですが、採用する装備は各国の判断によって異なります。例えば英国向けに導入が進む新型レーダー「ECRS Mk2」は英国独自の能力向上であり、現時点で全てのタイフーンへ搭載される計画ではありません。

 つまり英国が目指しているのは、新型機へ全面更新することではなく、既存機を最新技術によって進化させながら長く使い続けるという考え方なのです。

「戦う戦闘機」から「無人僚機を率いる戦闘機」へ

 このイギリス独自の強化策には、同国空軍の運用方針が関係しています。

 BAEは、ファーンボローエアショーのイベント会場において、改良型タイフーンと無人僚機(CCA)を組み合わせる将来構想も紹介しました。この構想こそ、同機の延命策の大きな要因となっています。

 公開されたシミュレーションでは、タイフーンは危険な空域へ深入りせず、後方から複数のCCAへ任務を指示します。一方、前方ではCCAが情報収集や攻撃を担当し、有人機の危険を減らしながら戦力全体を強化するという考え方です。ただし、これは現時点では運用方法を検証するコンセプト段階であり、実戦配備された能力ではありません。

 さらにCCAとの運用以外で注目となる装備が、ECRS Mk2レーダーです。このレーダーは従来よりも高い探知能力を持つだけでなく、敵レーダーの位置を把握し、高出力の電子妨害を行う電子戦能力も備えています。敵を「見つける」だけでなく、「敵の目を封じる」ことまで一つのレーダーで担おうという装備で、CCAの指揮機体としてタイフーンを運用する場合、敵の防空網へのCCA投入などで大きな効果を発揮します。

 こうした発展の姿は、半世紀以上にわたって能力向上が続けられ、現在も新造機の生産が続くF-16を思わせます。もちろん、単発軽量戦闘機のF-16と、双発で多国間共同開発のタイフーンでは設計思想も役割も異なります。しかし、新しいレーダーやコンピューター、兵装を次々と取り込み、一つの機体系列を何十年にもわたって進化させ続けるという発想は共通しています。

 GCAPが完成すればタイフーンの役目は終わる――。そんな単純な世代交代ではなく、新型戦闘機と改良型タイフーンを組み合わせ、それぞれの強みを生かして運用することこそ、英国が描く将来の航空戦力の姿なのでしょう。そしてその考え方は、「半世紀経っても進化を続ける戦闘機」として知られるF-16にも通じるものがあると言えそうです。