自民党のインテリジェンス戦略本部(本部長・小林鷹之政調会長)は28日、政府の情報活動強化に関する提言をまとめた。安全保障目的で行政機関による通信傍受を可能にする「対外情報収集法」や、外国勢力による影響工作に刑罰を科す「外国干渉防止法」の制定が柱。スパイ防止関連法制の一環と位置付け、高市早苗首相への申し入れを調整している。
日本では現在、裁判所の令状を必要とする犯罪捜査目的の「司法傍受」が認められている。提言は、新たに令状を必要としない「行政傍受」の導入を要請。「通信の秘密」を保障する憲法21条に配慮し、厳格な承認要件を課すほか、独立機関による事後審査の仕組みも併せて提起した。
スパイ行為の処罰対象として「日本の安全や利益を害する国家情報を外国勢力のために取得・漏えいする行為」などを例示した。日本国内でロビー活動を行う個人・団体に届け出を義務付ける「外国代理人登録制度」の整備も盛り込んだ。
首相が意欲を示す「対外情報庁」の創設を巡っては、英国やオーストラリアを参考とし、外相の監督下に設置する案を「有力な選択肢」と記した。
民主的統制の重要性にも触れ、「能力強化と監督強化は、同時に制度化されるべきだ」と強調。国会による監視強化に加え、情報機関の内部に独立した監察機能を設けるよう求めた。
木原稔官房長官は28日の記者会見で、通信傍受について「国民の自由や権利との関係を慎重に検討する必要がある」と指摘。政府は近く有識者会議を立ち上げる方針で、提言も踏まえて情報活動強化の議論を加速させる。
〔写真説明〕自民党のインテリジェンス戦略本部で発言する小林鷹之本部長=28日午前、同党本部