せっかく撮ったのにガビガビ…「見えているのに写らない」電車のLED表示、スマホできれいに記録するには?

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旅先や通勤途中で見かけた珍しい電車をスマートフォンで撮影したら、行き先表示が黒い線で切れていた、という経験はないでしょうか。これはLED表示器とカメラの仕組みが関係していました。

行先表示が切れる理由はLEDの仕組みにあった

 旅先での見慣れない車両、通勤・通学途中に突如やってきた珍しい車両……スマートフォンで鉄道を咄嗟に撮る場面は多いと思います。ところが撮った写真を見ると、車両の行先表示部分に黒い線が入っていることも。

 なぜこのような現象が起こってしまうのでしょうか。それにはLEDの発光の仕組みとカメラの仕組みが影響していました。

 実はLEDは高速で点滅を繰り返しています。点滅を繰り返しているのであれば、行先表示などを見ているとチカチカしているのでは……?と感じますが、この点滅は1秒間に数十回以上というとても速いもの。人間の目は残像効果と呼ばれる現象で消灯から次の発光まで「点灯したまま」と認識するのです。

 一方、写真を撮る原理は、カメラがレンズを通してフィルム、現代は撮影素子に光を当てることによります。この光を当てるという作業は、光を通す時間(シャッター速度)、光の通路の大きさ(絞り)、光の感じ易さ(感度)の三つの要素で調整されます。

 この中で、LED式の行先表示と関係するのがシャッター速度。つまり、人間の目では補正できて点灯状態に見えるものが、カメラのシャッターだと機械的に決められた時間のみの光を取り入れるため、LEDの消灯状態が記録されてしまうのです。

 行先表示を切らないために必要なのは、LEDの点滅頻度よりもシャッター速度を遅くするということ。つまり光を取り入れる時間を長くする必要があります。

各モードで実際に撮ってみた

 では、実際にどのモードが適しているのか、手元のGoogle Pixel 9aと中央線快速電車のE233系電車で、明るい時間帯に試してみました。結果は次の通りです。

・写真…切れる
・写真(トップショットON)…切れる
・夜景モード…切れる
・長時間露光…比較的きれいに写る

「写真(トップショットON)」は、短い動画も同時に撮影し、その中からベストショットを選べるという機能です。そもそも動画は静止画を高速で送っているので、元の原理を活用した機能です。iPhoneのLIVE機能も同様の考え方です。ところが、シャッター速度はあくまでカメラ任せ、明るい中での撮影なので1コマずつのシャッター速度は速くなります。どれをセレクトしても行先表示が切れる結果となりました。

 夜景モードは暗いところや明暗差の大きい光景をバランス良く撮ってくれますが、手ブレ防止のためにシャッター速度を上げる傾向があるようで、こちらも行先表示は切れています。

 ようやく行先表示の全体像が写ったのは「長時間露光」でした。本来は夜間や暗い場所で光を多く取り入れるためにシャッターを開ける時間を長くするものですが、明るい場所でも絞り・感度が調整されることで、シャッター速度を遅くすることが可能です(当然ながら限界はあります)。

 ただし、動いているものはブレてしまうので、あくまで止まっている車両に有効です。

 モードによる差異はスマートフォンの機種ごとにもあるようで、同じ車両を別の機種で試したところ切れることはありませんでした。

 最も確実なのは、自分自身で細かな設定ができるタイプで、行先表示が切れないシャッター速度まで意図的に調整が可能です。もちろん明るい中で設定できるシャッター速度は限られていますが、最近の車両はかなり速いシャッター速度でも行先表示が切れないようになってきているので、対応できる場面は増えています。

 デフォルトのカメラアプリでは設定できない……という場合でも、サードパーティのカメラアプリをインストールすることで細かな設定が可能になるケースもあります。

 と、解決策が見つかったようではありますが、実は行先表示が切れないシャッター速度は車両形式によって違います。さらに同じ形式でも表示器のメーカーによって異なることも。

 形式や編成番号によるシャッター速度の違いはウェブ上でも研究が進んでいますが、様々な車両とスマホのモードの組み合わせを実際に試してみるのもおもしろいかもしれません。