2026年7月10日、映画『ゴジラ-0.0』の特報映像が公開されたことで、謎の日本軍機の正体がほぼ判明しました。
やっぱりあの伝説の攻撃機?
2026年7月10日、映画『ゴジラ-0.0』の特報映像が公開されました。この映像により、以前公開された第1弾予告編で登場した、日本海軍機を思わせる暗緑色に塗装された謎の軍用機の正体が、ほぼ明らかになりました。おそらくアメリカ軍で運用されたA-1「スカイレイダー」です。
A-1「スカイレイダー」は、第二次世界大戦後に運用された、レシプロ(ピストン)エンジンを搭載するプロペラ推進の艦上攻撃機です。
この機体は、レシプロ時代の攻撃機の完成形ともいえる存在でした。第二次世界大戦中の空母では、雷撃や水平爆撃を担当する艦上攻撃機、急降下爆撃を得意とする艦上爆撃機、さらに艦隊防空や攻撃機の護衛を担う艦上戦闘機と、役割が細分化されていました。
そこで、整備性の向上や空母内のスペース確保を目的として、艦上攻撃機と艦上爆撃機を統合しようと1943年に開発が始まったのが、XBT2D「ドーントレスII」、のちのA-1「スカイレイダー」でした。
同機の画期的な点は、爆弾や魚雷をすべて機体外部のハードポイントに搭載する方式を採用したことです。今回公開された特報映像でも、その特徴的なハードポイントと、爆弾倉を持たない円筒形の胴体を確認することができます。
また、このハードポイントに加え、当時最も強力なレシプロエンジンのひとつであったライトR-3350「サイクロン」を搭載したことで、単発レシプロ機としては類を見ない兵器搭載量(ペイロード)を実現しました。
最大搭載量は3130kgにも達し、同じコンセプトで同時期に開発された旧日本海軍の「流星」の約800kgと比べると、実に約4倍という数値です。当時としては単発攻撃機として画期的な搭載能力であり、4発大型爆撃機B-17に迫るほどでした。
搭載可能な兵装も、航空魚雷、2000ポンド(908kg)爆弾、小型爆弾、ロケット弾と、対地・対艦攻撃に必要な装備が一通りそろっていました。さらに戦後にはナパーム弾やガンポッドを搭載した例もあり、その運用は非常に多彩でした。
同機の初飛行は1945年3月18日であったため、第二次世界大戦には間に合いませんでした。しかし、その後の朝鮮戦争やベトナム戦争では、旧式な構造ながらも優れた対地攻撃能力を発揮します。
トイレをゴジラに落とすことは?
朝鮮戦争では、味方地上部隊への近接航空支援を行ったほか、空母プリンストンに搭載されたA-1飛行隊は、航空魚雷によって北朝鮮国内のダムを攻撃・破壊するという戦果も挙げています。
また、アメリカ海兵隊も近接航空支援用として同機を運用していましたが、その大容量の搭載能力から、「キッチン以外に運べない物はない」と揶揄されるほどでした。しかし、このジョークを覆すため、後日、本当に流し台(シンク)を翼下に搭載して投下し、「キッチンも運べる」ことを証明してしまいました。
さらに1965年にベトナム戦争が本格化すると、同機は戦場で大きな役割を果たします。この時代は誘導兵器がまだ未成熟だったこともあり、高速で飛行するジェット攻撃機よりも、低速・低空で目標を狙えるA-1のほうが攻撃精度に優れると評価され、海軍だけでなく空軍でも対地攻撃機として重用されました。
ベトナム戦争では、A-1が爆弾やロケット弾、ナパーム弾など、ありとあらゆる兵器を搭載して出撃したことから、「もはやこの機体が搭載したことのないものはトイレくらいだ」というジョークがアメリカ軍内で広まりました。すると今度は、信管を取り付けた洋式便器を実際に「トイレ爆弾」として投下。これにより、「A-1に取り付けたことのないものは存在しない」とまで語られる伝説を残しています。
アメリカ軍史において伝説的な攻撃機となったA-1ですが、今回の『ゴジラ-0.0』では、日本所属であることを示す、日の丸をモチーフとしたラウンデル(円形の国籍マーク)が描かれていました。
そうなると、作中では日本人の誰かが搭乗する可能性が高いことになります。前作『ゴジラ-1.0』に引き続き、主人公・敷島浩一(しきしま・こういち)役を神木隆之介さんが演じることも決定しているため、おそらく敷島が搭乗することになるのでしょう。
敷島といえば、終戦直前、大戸島でゴジラの前身となる古代生物に襲われ、その圧倒的な恐怖の前に戦うことができず、「俺の戦争はまだ終わっていない」というトラウマを抱え続ける人物として描かれていました。ゴジラと対峙したことで一応気持ちのけりはつけました。しかし、前作の大ヒットにより、どうやら敷島の戦争はまだ終わらないようです。
今回登場するA-1は、前作で敷島が搭乗した震電ほどの速度こそありませんが、機関砲に加え、爆弾、ロケット弾、魚雷など、大型目標に有効な兵装を多数搭載できます。そのため、どのような戦闘が描かれるのか注目されます。一方で、予告映像で大々的に登場したにもかかわらず、本編ではあっさり撃墜されてしまうという展開も十分に考えられるでしょう。