愛知県にある「日本一大きな無人駅(かもしれない)」に行ってみた! メチャ賑やかなのに “駅員ゼロ” のワケ

インフラ整備 予防保全型へ転換

愛知県には日本最大とも言われる無人駅があります。それが名古屋鉄道本線の豊明駅。駅員はいないですが、駅のプラットフォームは3面6線という立派なもの。どんな駅なのか、現地へ行き理由を探りました。

3面6線の駅なのに、駅員はナシ!?

 無人駅と聞くと、多くの人は地方のローカル線にあるような小さな駅を想像するのではないでしょうか。1面1線、たとえ行き違い設備があっても1面2線のような規模で、せいぜい島式ホームの両側に線路が敷かれている程度の簡素な作り。行き交う列車は日に数本、各駅停車のみといった感じです。

 しかし、日本には都市部にあり、3面6線という大きなプラットフォームを持ち、さらに準急も停車するのに駅員が常駐しない駅があります。それが愛知県豊明市にある豊明駅です。なぜここは無人駅になったのか、現地へ足を運んでみました。

 豊明市は愛知県の真ん中辺りにある、6万7000人ほどの都市で、名古屋の中心部からは30分足らずで到着可能です。緑豊かな自然もあり、名古屋都市圏の住宅都市という位置付けになっています。

 市内の人気スポットとしては、織田信長が今川義元を奇襲で打ち破った戦いとして有名な「桶狭間」の古戦場といわれる場所があります。また、日本中央競馬会(JRA)が保有する中京競馬場も市内にあり、レース開催中には最寄り駅である名鉄名古屋本線の中京競馬場前駅に多くの人が詰めかけます。

 豊明駅はその中京競馬場前駅から2つ隣にある駅です。名鉄名古屋本線は、名鉄岐阜駅から豊橋駅までを結ぶ名鉄の基幹路線であり、その長さは日本の私鉄路線では、東武伊勢崎線、近鉄大阪線に次いで第3位、その距離は99.8kmにもなります。

 名鉄の基幹路線にあり、かつ所在する自治体名を冠した3面6線の橋上駅。こう聞くと、豊明駅はなかなか立派な駅のように思えます。

 しかしそんな規模の駅ながら、常駐している駅員はゼロ。改札を出た先には「日本一大きな無人駅(かもしれない……)」と書かれた写真パネルが置かれているなど、駅自身もそれを売りにしている節があります。

隣接する車両基地には職員が多数!

 ただ、豊明駅も最初から無人駅だったわけではありません。かつては駅員が常駐していました。実際、駅の改札口近くにはかつての駅員室と思われる形跡も見つけました。

 無人駅になった理由として考えられるのが、隣駅の「前後駅」の存在です。こちらのほうが豊明市の中心駅として最も賑わっています。

 参考までに、国土交通省が発表している2024年度の「国土数値情報(駅別乗降客数)」を見ると、豊明市の利用者数が4678人なのに対して、前後駅は1万9257人と4倍以上の大差をつけています。実際、豊明駅の近くで目立つのは、伊勢湾岸自動車道の豊明ICに、工場や卸売市場などです。

 名鉄としては、こういった利用実態を鑑みた結果、豊明駅を無人にするという判断を下したのではないでしょうか。

 ただ、豊明駅は無人駅とはいえ、設備自体は充実しています。構内にはトイレはもちろん、各ホームに自動販売機が設置されています。改札前にはお菓子などを購入できる自販機も置かれています。ホームには駅員と話すためのインターホンも用意されていました。

 また、駅に隣接する形で車両基地(豊明検車支区)があります。ここには最大51両を留置可能であるほか、検査ピットも2線(4両用)あり、列車検査を実施できます。加えて、線路上には鉄道車両用の洗車機もあり、砕石(バラスト)輸送用の貨車(ホッパ車)も複数配置されています。そのため、豊明駅に駅員は常駐していませんが、隣の車両基地ではかなりの数の名鉄職員が働いており、運転士や車掌の休憩なども行われています。

 このような施設があるため、一見すると無人駅に思えないというのもあるでしょう。頻繁に列車の入出庫があるほか、各ホームでは常に列車の待避、追い越しがあるため、無人駅とはいえど、鉄道の要衝としての賑やかさを感じる駅でした。