東武鉄道の有料特急車両の中でもひときわ個性的な存在が、634型電車「スカイツリートレイン」です。現在は多客期には臨時特急として運行されています。今回は会津田島から浅草まで3時間47分におよぶ列車旅を堪能しました。
東武の隠れた豪華列車「スカイツリートレイン」
東武鉄道では、N100系電車「スペーシアX」が豪華特急車両として知られていますが、それにも引けを取らないかもしれない豪華車両が、多客期のみ臨時特急として運行されている634型電車「スカイツリートレイン」です。
臨時特急「スカイツリートレイン」は、下りの81号が春日部9時58分発→会津田島12時59分着、上りの82号が会津田島16時23分発→浅草20時15分着です(日によって時刻や区間は異なる場合があります)。
今回は2026年のゴールデンウィークに運行された「82号」に全区間乗車しました。会津田島駅(福島県南会津町)から浅草駅(東京都台東区)まで3時間52分。これは東武鉄道を走る特急列車でも長距離・長時間の部類です。1編成しかない貴重な「スカイツリートレイン」に長く乗れるともいえますが、夕食の時間帯にもかかります。
会津田島駅から乗車する場合は、駅舎のレストランでカレーなどの食事メニューを持ち帰りで購入できます。駅舎1階の売店で駅弁も売っていますが、数が少ないのでテイクアウトがオススメです。
5月の16時台は、まだ明るい時間帯です。列車は、会津田島駅では最長の4両編成でホームに停まります。なお、「スカイツリートレイン」は原則として編成の分割・併合運転がないため、会津鉄道・野岩鉄道を走る列車としても最長クラスの編成です。
ホームには15時42分発・上り新藤原行き区間快速が停車中です。車両形式は「スカイツリートレイン」に改造される前の6050系電車であり、比較ができます。
ゆとりある車内での鉄道旅
区間快速を見送った後、レストランで購入したカレーと飲み物を持って「スカイツリートレイン」に乗り込みます。1・3号車が1+2列のリクライニングシート、2・4号車が1人掛けリクライニングシートと窓向きの2人掛けリクライニングシートです。定員は1両29~30人ですから、「スペーシアX」のプレミアムシートと同等のゆとりがあります。
一方で特急料金は他の「リバティ会津」などと同じですから、設備を考えるとお得感のある車両です。
会津田島~鬼怒川温泉間では最も豪華な車両の一つといえるでしょう。私は2号車6番A席を予約しました。改造車のため座席と窓の位置はあまり合っていませんが、座席の正面に窓があり、景色がよく見えます。天窓も含めてワイドな車窓を楽しめます。
「スカイツリートレイン」にはデッキがありません。しかし、車両の端にはコの字形のソファを設けたサロンや運転席の後ろの前面展望が楽しめるフリースペースが備わるなど、非常にゆとりがあります。和式だったトイレは、改造時に車いす対応の洋式に変わり、設備面もとても充実しています。車内モニターはビデオが流れていますが、会津とは関係ない地域を紹介する内容でした。
会津田島を16時23分に出発。乗客は1号車10人、2号車5人、3号車6人、4号車5人の計26人でした。定員は118人なので乗車率は22%です。車内が空いているうちに駅で購入したカレーを食べることにしました。まだ温かく食堂車のような気分です。昔懐かしい定番カレーという味で、サラダやお手拭きも付いています。
車窓には自然豊かな景色が広がります。窓向き座席で食事しつつ、のんびりと旅をするのは鉄道旅行の楽しさを凝縮したような時間といえます。ちなみに座席は、インアームテーブルがあり、リクライニングも可能です。手元のスマートフォンアプリで速度を計測すると、50km/h程度で、のんびりと走ります。
窓に広がる会津の自然を堪能
16時41分着の会津高原尾瀬口で2人が乗車します。臨時列車なので12分間停車。ホームに降りると高原の空気が心地良いです。
男鹿高原を通過し、17時2分の上三依塩原温泉口で1人乗車。17時9分頃、中三依温泉で運転停車(ドア開閉はなく、時刻表では通過扱い)。すれ違った下り会津田島行き特急「リバティ会津」は30人ほどの乗車でした。
美しい景色が続いた後で、17時19分にトンネル内の湯西川温泉に停車し1人が乗車します。17時23分の川治湯元は乗降なし。景色も車両も素晴らしいだけに「もっと知ってもらいたい」と感じます。17時26分、川治温泉に運転停車。龍王峡も通過します。特急「リバティ会津」は野岩鉄道線内では男鹿高原以外の各駅に停車するため、これらの駅を通過するのは貴重な体験といえます。
17時32分、新藤原に到着。乗降はなく2分間停車します。ここから東武鬼怒川線です。17時38分の鬼怒川公園で1人乗車。そして17時43分の鬼怒川温泉駅で26人が乗車して来ました。なお、次の東武ワールドスクウェアは、特急「スペーシアX」「きぬ」「リバティ会津」は停車しますが、この列車は通過します。17時58分、大桑で運転停車し、普通列車と交換します。
大桑を出発すると、花畑や「鉄道の免許は取れません」と書かれた自動車教習所など、おもしろい景色が続きます。なお、珍しい車両だからか、沿線でカメラを構えている人が結構います。
18時6分の下今市は2人下車・17人乗車。窓向き座席からは関東平野に沈む夕日が美しく映し出され、乗客たちも車窓を写真で撮っていました。
夜の東京へ向けてラストスパート
列車の外はすっかり暗くなりました。18時27分の新鹿沼で1人乗車。この時点で1号車14人、2号車16人、3号車21人、4号車23人で計74人、乗車率はまずまずの63%でした。18時45分の栃木では5人が下車しました。
19時13分、南栗橋で6分間の運転停車の際に後続の特急に抜かれました。臨時列車であることに加え、最高105km/hの6050系を改造した634型は、最高120km/hの500系やN100系の特急と同じダイヤでは走れないのだろうと感じます。
とはいえ、座席は快適、フリースペースもある「スカイツリートレイン」の旅は全く退屈しません。残念なのは、売店が営業していないことくらいです。
19時35分の春日部は10人下車、乗車なし。ほどなく複々線区間に入り、モーター音が大きくなります。計測すると約100km/h。限界に近い速度で走り、普通列車を追い抜きました。20時ちょうど、北千住に到着。27人が下車しました。
20時11分のとうきょうスカイツリー到着前には、ライトアップされた東京スカイツリーが見えます。「スカイツリートレイン」の天窓に映るスカイツリーをなんとか撮影しました。
20時15分、浅草に到着。およそ4時間の長旅でしたが、変化に富んだ車窓や快適な車内設備のおかげで、退屈することなく過ごせた時間でした。