1400両あった元祖「銀色の通勤電車」がJR東日本で絶滅間近 国鉄末期デビュー「205系」の“沼”と現在地

インフラ整備 予防保全型へ転換

JR東日本は各路線で新型車両を導入し、老朽化した車両の置き換えを進めています。これにより、国鉄時代に登場し首都圏を中心に活躍した205系は、2026年現在で南武支線に残る2両編成1本のみとなりました。

首都圏を席巻した205系電車

 JR東日本は、各路線で新車を導入して老朽化した車両の置き換えを進めています。これにより数がずいぶん少なくなってしまった車両の一つが205系通勤形電車です。1400両あまりが製造され、首都圏を中心に使われてきました。しかし2026年現在、同社ではわずか2両編成1本だけが残っており、南武支線(尻手~浜川崎間)で使用されています。

 国鉄・JRの205系は1985(昭和60)年に登場し、山手線を皮切りに首都圏の各路線で使用されていました。205系はステンレス製の銀色の車体を本格的に採用し、以後の国鉄・JRの通勤形・一般形電車の標準となっています。走行機器は、部品点数の少ないボルスタレス台車をはじめ、界磁添加励磁制御を採用して回生ブレーキを備えたことで、ローコストな省エネルギー電車として造られています。

 205系の製造はJR発足後も続き、先の通り最終的には1400両あまりに達しました。山手線に次いで横浜線や南武線、埼京線、京葉線、武蔵野線、相模線に導入され、中央・総武線各駅停車や京浜東北線でも使用されていた時期があります。山手線と横浜線では、ラッシュ時間帯には座席を収納する6扉車も登場しました。

 車体の帯色は路線に合わせて変更されました。横浜線は緑の濃淡、南武線は黄色・オレンジ・茶色、相模線は青の濃淡といったように、複数の色の組み合わせも登場しました。これらの色の組み合わせは、後継の車両にも引き継がれています。

 大量に導入されたこともあって、同じ205系でも製造時期や導入路線によって違いがあります。分かりやすい例では、京葉線に導入された車両は前面のデザインが変わり、ファンの間から「メルヘン顔」とも呼ばれました。「メルヘン顔」は武蔵野線に導入された205系にも引き継がれていますが、京葉線では白だったものが武蔵野線向けでは銀色となり、「顔」自体も異なるなど、「205系の沼」とも言える細かな違いがあります。

 相模線向けの205系500番代も独自の「顔」で、当初は乗務員室内に置かれたモニタ装置の画面が目立っていました。

各所に散った205系

 山手線に後継の車両が導入されると、山手線の205系は武蔵野線や鶴見線などに転用されました。また、山手線で使用されていた6扉車は埼京線に転用されています。さらに、トイレを取り付けて東北地方に転用され、仙台を発着する仙石線で使用された車両もあります。

 転用に際しては、編成を短くするために運転台を取り付けた車両が数多くあります。運転台を取り付けた車両は前面のデザインや運転台が異なり、205系の新しい仕様が登場しました。

 武蔵野線に転用された車両には、直通先の京葉線にあるトンネル出入口の急勾配に対応するべく、VVVFインバータ制御に改造した205系5000番代が登場しています。

 次いで、京葉線や埼京線にも後継車両が導入されると、両路線から日光線や宇都宮線(宇都宮~黒磯間)などに転用された車両もあります。2018(平成30)年には、205系を改造した日光線向けの観光列車「いろは」も登場しました。

 こうして205系の種類がさらに増え、「205系の沼」はさらに深くなっていきました。

 これらの路線ではすでに引退してしまいましたが、先の通り、2026年現在、首都圏で唯一205系が走っているのが南武支線です。

 南武支線の205系は3本ありましたが、こちらも後継の車両が導入されて2本が引退しています。最後の1本は山手線で使用されていた車両を改造したもので、2003(平成15)年から南武支線で使用されています。

 首都圏では205系が2両だけとなりましたが、富士山麓電気鉄道富士急行線に205系の譲渡車両があります。また、近畿ではJR西日本が継承・新造した205系が奈良線で使用されており、京都にも顔を出しています。