欧州サッカー連盟(UEFA)は6日、大きな物議を醸すアメリカ代表FWフォラリン・バログンに対する出場停止猶予問題に関して怒りの声明を発表した。
国際サッカー連盟(FIFA)は5日、FIFAワールドカップ2026に出場しているバログンに対する出場停止処分に1年間の猶予を与えると発表。
バログンはラウンド32のボスニア・ヘルツェゴビナ戦にて、ボールの奪い合いの際にタリク・ムハレモヴィッチの足首を踏んだことにより、オンフィールド・レビュー(OFR)の末に退場処分となっていた。本来はラウンド16のベルギー戦は出場停止となるが、FIFAは「FDC第27条の規定に基づき、バログンに対する自動的な出場停止処分は1年間の執行猶予となり、停止される」と発表。これにより、バログンは現地時間6日のベルギー戦に出場することが可能になった。
FDCはFIFA Disciplinary Code(FIFA規律規定)の略。近年の第27条の運用としてはポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが昨年11月のヨーロッパ予選で一発退場となったものの、FIFA規律委員会が3試合出場停止のうち2試合を猶予処分としたことで、今大会初戦から出場可能になった事例がある。しかし、データサイト『Opta』によると、1970年大会でイエローカードとレッドカードが導入されて以来、FIFAワールドカップにおいて退場処分となった選手が次の試合に出場したことは一度もないという。
なお、今回の決定に際してはホワイトハウスがFIFAに直接連絡し、ジャンニ・インファンティーノ会長に対してバログンのレッドーカードの検証を要請したとの報道もなされている。アメリカのドナルド・トランプ大統領はSNSを通じて「FIFAが正しいことをし、大きな不当行為を覆してくれたことに感謝している!」とコメント。一方、FIFA関係者はホワイトハウスが意思決定に影響を与えた可能性を否定している。
そういった経緯もあって、対戦相手のベルギーサッカー協会(KBVB)はFIFAの決定に反発しつつ、「参加するすべてのチームの正当な権利を保護し、FIFAワールドカップや将来の大会におけるフェアプレーの基本原則を守るため、ベルギーサッカー協会はあらゆる可能性ある選択肢を検討している」と声明を発表していた。
そんななか、UEFAはKBVBと足並みを揃える形で、「昨日、フォラリン・バログン選手にレッドカードが提示されたことを受け、1試合の自動出場停止処分を1年間の試用期間で停止するという決定は、一線を越えたと言える」と強い言葉でFIFAの決定に憤りを示した。
「サッカーは他のスポーツと同様に、公正で誠実かつ透明な競技の基盤となるルールに基づいている。ルールには解釈の余地がある場合もあるが、今回のケースはそうではない。レッドカード後の最低1試合の自動出場停止処分は、裁量権に基づくものではなく、権限のある機関の決定を必要とするものでもない。これは規則に明記された原則であり、例外を設けることはできない。ましてや、他の多くの選手が同様の状況に置かれ、出場停止処分をきちんと消化している大会の最中に、例外を設けるなど論外である」
「ルールの明確性がその守護者によって保証されなくなった時、試合の公平性が損なわれ、大会の信頼性が揺らぐ。同様に、今回の決定は、現在開催中の大会において、同様の状況が発生した場合に同様の扱いが求められるという前例を作り、大会の健全性を損なうことになる」
「サッカーは、その美しさと、世界中で同じルールでプレーされていることから、世界で最も愛されているスポーツです。大会は決して単独で存在するものではなく、ワールドカップのような大会であれば、サッカー全体に良い影響も悪い影響も及ぼす力を持っています」
「このような前代未聞で、理解しがたく、正当化できない決定に対し、私たちは強い憤りを表明します」
すでに今回の不公正なFIFAの決定に関しては世界中から批判的な意見が殺到しているが、サッカー界でも大きな影響力を有するUEFAの抗議声明によって今後何らかの動きが出てくるのか。