【サンパウロ時事】南米ベネズエラ北西部でマグニチュード(M)7超の連続地震が発生してから1日(日本時間2日)で1週間が経過した。当局によると、1日までに確認された死者数は2295人。負傷者は1万1000人を超えた。安全対策の不備や救助活動の遅れなど政府の機能不全が被害を拡大させたと指摘されている。
◇安全軽視の独裁体制
ベネズエラの首都カラカスでは1967年にもM6超の地震が発生。約300人の犠牲者が出たほか、多数の家屋が損壊した。これを受け、政府は地震当局を設置。建物の耐震基準が定められた。
だが、30年近く続いたチャベス、マドゥロ政権による独裁体制で、災害への備えはなおざりにされた。両政権が引き起こしたハイパーインフレにより、建物の修繕に充てる資金も不足した。最大の被災地ラグアイラ州では、集合住宅が大きく損壊した。これらの建物は、十分な地盤調査をせずに建設された疑いがあり、人災の側面も否定できない。
ロドリゲス暫定大統領は家屋を失った住民のため、住宅建設を急ぐ考えを示す。しかし、専門家からは「早さを優先するあまり、安全性が軽視されるのではないか」と懸念する声が上がっている。
◇「妻だけ救助」
現地からの報道によると、がれきを除去する重機不足は依然深刻だ。約3割の建物が損壊したとされるラグアイラ州の沿岸都市カティアラマールでは、住民たちが素手で捜索を続けている。飲食業を営んでいた女性は「消防士が重機を持ってきたが、自分の妻だけ救助し、その後すぐにいなくなった」と地元メディアに証言した。
住民の不満は高まる一方だ。被災地でパトロールしていた兵士に対し、捜索作業に参加するよう求める人々の姿が報じられた。また、警官が被災した建物から米ドル札を運び出す様子もSNSで拡散した。警官は逮捕されたものの、災害に乗じた不正への批判は根強い。
野党勢力は政府の対応を非難している。マドゥロ体制から迫害を受け、昨年ノーベル平和賞を受賞した野党指導者マリア・マチャド氏は海外から帰国の意思を示しており、反体制派が勢いを増す可能性もある。
◇親米路線で復興目指す
今年1月の米軍によるマドゥロ大統領拘束を機に、ベネズエラは親米路線に転換。マドゥロ体制で停滞した経済の再建を目指し始めた直後に大地震は発生した。
トランプ米政権は3億ドル(約490億円)超の資金拠出を発表し、「前例のない大規模な支援」を約束している。ただ、地震の経済的損失は直接被害だけで67億ドル(約1兆1000億円)に達する見込み(国連推計)で、道のりは険しい。
〔写真説明〕1日、ベネズエラ北部ラグアイラ州で、倒壊した建物で救助作業に当たる人々(AFP時事)
〔写真説明〕1日、ベネズエラ北部ラグアイラ州のスポーツセンターで休む地震被災者ら(EPA時事)
〔写真説明〕ベネズエラの連続地震で損壊した集合住宅=6月26日、北部ラグアイラ州(AFP時事)