なぜ「翼が動く戦闘機」は新型が出ない? 新作『Star Fox』で躍動する“可変翼ロマン”の系譜

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翼が展開するギミックがなんとも味のある「可変翼」 現実ではすでに見られなくなりつつある技術ですが、ゲームやアニメの世界で確かな命脈を繋いでいました。

今も昔も「カッコよさ」が残る可変翼

 Nintendo Switch2向けの新たな3Dシューティングゲーム『Star Fox』が、2026年6月25日に発売されました。

 本作は、かつてニンテンドウ64にて発売された『スターフォックス64』の29年越しのリメイク作品でもあり、原作の要素を極力崩さずにリッチな演出を盛り込むという、ファンには嬉しい作りとなっています。

 同シリーズに登場する兵器で、ほぼ全編にわたって主役を張るのが「超高性能全領域戦闘機 アーウィン」です。通常は翼を後ろに展開しているAの字のような姿のこの機体は、実は「オールレンジモード」という別形態を備えています。翼を横に広く展開することで、低速ながら上下左右に柔軟に飛行できる性能を持っているのです。作戦によって、直進性に優れたフォームでスタートすることもあれば、最初からオールレンジモードで全域の敵を相手に戦うこともあります。

 この翼が前後に動くことで形態を変えるギミックは、さながらSF作品のようですが、実は現実でもこの仕組みを備えた戦闘機が存在します。

 代表的なのは、アメリカ海軍がかつて運用していた戦闘機F-14「トムキャット」でしょう。映画『トップガン・マーヴェリック』にも登場したこの機体は、特徴的な機能として翼が前後に動く「可変翼」を備えています。これは翼の角度を変えることで、飛行速度に対して最適な機動性を得ることができる仕組みです。翼を畳んだ加速時にはマッハ2.34の最大速度で飛行することができ、翼を広げれば低速でも優れた運動性能を得られるという柔軟な運用を可能としています。

なぜ「可変翼」は消えてしまったのか?

 しかし、この“翼が根本から可動する”仕組みは、デメリットも抱えていました。構造が複雑なために整備の手間とコストが、他の機体よりも増加してしまうのです。また時代が進むにつれてエンジンの性能が上がったほか、アビオニクスの高性能化によって可変翼による加速力が求められなくなりました。

 加えて、戦闘機に求められる性能のポイントが、最適な形状による「ステルス性」に移り始めたことも大きかったと言えるでしょう。機体形状が変化する可変翼では、ステルス性の追求という観点からはデメリットの方が大きかったのです。

 結果として可変翼は一時期、アメリカだけでなく、ソ連(現ロシア)やヨーロッパなどの戦闘機で用いられたものの、現在の新型機開発では用いられることがなくなっています。それでも、この可変翼の仕組みがもたらす「カッコよさ」は、創作作品に一定の影響を与えています。

 メディアミックス作品『超時空要塞マクロス』シリーズに登場する機体「VF-1 バルキリー」は可変翼を備え、さらに脚部を展開したり人型に変形したりと、変形要素が大きくフィーチャーされています。ちなみに、同機体のモデルは前出のF-14「トムキャット」とされています。

 また構造こそ違いますが、映画『スター・ウォーズ』シリーズのスターファイター(宇宙戦闘機)「Xウイング」は、水平に畳まれた翼をX字状に“縦に”展開するギミックを備えています。

 どちらも、ファンからは高い人気を得ている機体であり、今もなお愛され続けています。

 戦闘機開発の第一線からは見られなくなった可変翼ですが、その技術は映像作品のなかでは、今でも「カッコよく、ロマンに溢れたもの」として受け継がれています。