韓国では6月3日、統一地方選と合わせ、14選挙区で国会議員の再・補欠選挙が行われる。動向が注目されるのは、保守系最大野党「国民の力」の元代表ながら除名され、釜山から無所属で出馬した韓東勲氏。国会議員として中央政界に登場すれば、尹錫悦前大統領の「非常戒厳」宣言以来混迷する保守陣営の立て直しでカギを握る存在になるとみられている。
◇熱狂的ファンも
「国会で(与党)『共に民主党』の暴挙を粉砕させてほしい。必ずこの選挙で勝利して保守を再建する」。25日、交差点に止まった選挙カーで韓氏が腕を突き上げて絶叫すると、1000人以上集まったとみられる支持者から「よっしゃ!がんばれ!」と大歓声が上がった。
検事出身で尹氏の右腕だった韓氏だが、政界入り後は徐々に尹氏と対立。与党代表(当時)ながら非常戒厳に真っ先に反対し、尹氏弾劾に賛成した。しかし、国民の力で尹氏を支持する強硬右派の発言力が強くなる中で「裏切り者」扱いされ、今年1月、党を除名された。熱狂的な「ファン」を誇る一方、国会議員の経験はなく、党内基盤が乏しいのが弱点だ。
◇「中道寄り」の象徴
国民の力の支持率は低迷が続く。革新系の李在明政権が中道層への支持拡大を図る中、強硬右派と距離を置かなければ国民の力の再建は見込めないと指摘される。穏健保守の象徴である韓氏が当選すれば復党を求める声が高まる見通しだ。政治評論家の金俊一氏は「韓氏が党の主流になるのかが保守政党の未来を左右する」と語る。
選挙戦は、前大統領府高官で共に民主党の河丁友氏と、強硬右派が推す国民の力の朴敏植氏との事実上の三つどもえ。接戦だが韓氏は当選をうかがう勢いを見せている。
他候補と違い、韓氏は釜山にゆかりがなく、朴氏の街頭演説中、韓氏の選挙カーが通ると、朴氏支持者から「ソウルに帰れ」と罵声も飛んだ。一方、韓氏を支持する地元男性(68)は、「韓氏が非常戒厳に反対していなかったら大変なことになっていた」と強調。保守支持だった友人の中で「非常戒厳以降、中道寄りに変わった人が多い」と明かした。
〔写真説明〕韓国の国会議員補選で、演説する韓東勲氏(中央)=25日、釜山
〔写真説明〕韓国の国会議員補選に出馬し、支持者の声援に応える韓東勲氏(中央)=25日、釜山