入国審査において、厳しさは国によって大きく異なり、とくにアメリカは厳格なことで知られています。一方で隣国カナダはスムーズに入国しやすい…と思いきや、筆者はそこで、まさかの「別室送り」を体験することになりました。
アメリカと違って、「機械で入国」
海外旅行で現地へ到着した際、必ず通るのが「入国審査」です。その厳しさは国によって大きく異なり、とくにアメリカは厳格なことで知られています。二次検査、いわゆる「別室送り」になるケースも珍しくありません。一方、比較的日本人旅行者がスムーズに入国しやすいとされるのが、アメリカの隣国であるカナダです。しかし今回、筆者はそのカナダで、まさかの「別室送り」を体験することになりました。
アメリカの場合、日本人旅行者でも一次審査は基本的に審査官との対面方式です。そして「別室送り」と聞くと、「銀行の待合室のような場所で長時間待機させられる」「荷物をすべて検査される」「スマートフォンが使えない」「スマホやPCの中身まで確認される」といった話を耳にします。
一方、バンクーバー国際空港の入国審査は、端末を使ったセルフ方式が中心です。パスポート情報などを入力し、顔写真を撮影すると、顔写真や各種情報、番号が印字された「入国チケット」のような紙が発行されます。通常はそのまま手荷物受取場へ進み、出口で係員にその紙を回収されれば入国完了です。同行していた人たちも、特に追加質問を受けることなく通過していました。
もちろん筆者も事前申請を済ませ、念のため「復路航空券」や「ホテル予約確認書」なども紙で用意していました。もちろん別室送りになった理由は不明ですが、後から状況を整理すると、「若く見えるアジア系の旅行者なのに滞在がわずか2泊」という点が不自然に映り、ビザを取らずに留学に来たのではないかと疑われた可能性があります。
実際、発行された紙には番号のほか、筆者だけなぜか「C」の文字が追加されていました。出口の係員に紙を見せると、筆者だけ対面審査レーンへ案内されます。そこでは、アメリカの入国審査を思わせるような矢継ぎ早の質問が続きました。滞在日数、目的、同行者などを次々に聞かれます。時間としては10分程度だったと思われますが、体感ではもっと長く感じられました。過去に他国で別室送りを経験した人が「本当に怖かった」と話していた理由が、少し分かった気がしました。
一通り質問が終わると、担当審査官は隣の職員に「日本から来て2日だけって、おかしいだろ?」と呆れたように話しかけ、紙に何かを書き込みます。そしてその紙を荒っぽく返され、いったん荷物受取場へ向かうよう指示されました。
この時点では「なんだかんだ入国できた……!」と安心していたのですが、スーツケースを受け取って出口へ向かうと、係員が紙を見て「あなたはこちら」と案内。手荷物受取場脇のドアが開かれました。この瞬間、初めて「別室送りを食らった」と気づいたのです。
カナダの「別室」どんな感じ?
バンクーバー空港の別室は、手荷物受取場の一角を丸ごと利用しているような広いスペースでした。まず受付でパスポートを預け、名前を呼ばれるまで待機するよう指示されます。広さのわりにベンチは3列ほどで、席数は30席に満たない程度。到着便が少ない時間帯だったため当初は空いていましたが、その後は混雑し、立って待つ人も出てきました。そういう状況ではないのに「こんな空きスペースがあるなら、もう少しベンチ設置したほうが良くね……?」となぜか考えてしまいました。
ただ、アメリカでよく聞くような「スマートフォン使用禁止」といった厳格な雰囲気ではなく、待合室では多くの人が普通にスマホを操作していました。なかには某キラキラ系SNSを延々と眺めている人もいて、こちらが緊張しているなかキモが据わっているように見え、妙に感心してしまいました。筆者も同行者へ「別室送りになりました。時間がかかりそうなので先に行ってください」と連絡を入れます。片隅では係官たちが円陣を組み、朝礼のような打ち合わせをしていました。
待機時間は約45分。その後、名前を呼ばれて二次審査へ進みます。アメリカでは一次審査だけで数時間待つこともあるため、「別室なら3時間コースだろうな……」と覚悟していた筆者としては、かなり早いと感じました。
対応した審査官はアジア系の人物で、開口一番、「君、学生だろ?」と聞いてきました。
「いやいや!社会人です」と答えると、誰と来たのか、渡航目的やどこにいく予定なのか、勤務先などを確認され、最後に再び「なぜ2日だけなんだ?短すぎない?」と質問されました。「仕事の都合でこの日程になりました」と説明すると、「OK、行っていいよ」とスタンプを押され、無事に入国できました。
二次審査自体は拍子抜けするほどあっさり終わり、荷物検査やスマートフォンの中身を確認されることもありませんでした。
このように、カナダの「別室送り」は、“本家”ともいえるアメリカの入国審査とはかなり雰囲気が異なります。事情に詳しい人によると、日本人がカナダでここまでの対応を受けるケースは比較的珍しいとのこと。ただ、それでも「自分だけ別室へ連れて行かれる」という体験が強い緊張感を伴うことは、両国共通といえそうです。