なぜ「ドクターイエロー」後継車両は黄色じゃない? 通常の“白い車体”になる理由とは JR東海に聞く

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JR東海は「ドクターイエロー」の後継車両「ドクターS」を2026年10月から投入します。詳細について、JR東海に聞きました。

「ドクターイエロー」後継車両が2026年10月デビュー

 JR東海は「ドクターイエロー」の後継車両「ドクターS」を2026年10月から投入します。「ドクターイエロー」は幸せの黄色い新幹線とも言われ、非常に高い人気を誇っていますが、後継車両は黄色にはなりません。なぜなのでしょうか。

「ドクターイエロー」とは、軌道設備や電気設備などの状態を確認する「新幹線電気軌道総合試験車」の通称です。一般の乗客は乗れない検測専用の車両で、視認性を高めるため、警戒色の目立つ黄色が採用されました。

 JR東海が保有するT4編成は2025年1月29日に引退しており、残っているのはJR西日本が保有するT5編成のみです。運行ダイヤが公表されていないため、神出鬼没のレア車両として高い人気を誇っています。

 東海道新幹線では、営業車両での検測を可能にする技術開発が進められています。これにより、「ドクターイエロー」の全検測機能と、社員が現地で行う一部の検査業務の代替が可能となりました。

「ドクターイエロー」の後継となる「ドクターS」は、東海道・山陽新幹線で最新のN700Sに検測機能を搭載する車両です。車体の色は通常のN700Sと同じく、白い車体ですが、「ドクターイエロー」の役割を受け継ぐ車両であることを示すロゴマークが両先頭車と奇数号車に貼られます。今後、計4編成(各16両)が導入予定です。

 また、「ドクターイエロー」T4編成の車体に使用されていたアルミ部材が水平リサイクルされ、屋根部と側面部に使用されます。2026年10月から営業運転を開始し、検測機器の運用開始は2027年1月からとなります。

 この「ドクターS」について、JR東海に詳細を聞きました。

「営業列車であることが分かる」車体カラーに

――「ドクターS」は「ドクターイエロー」の役割を受け継ぐ車両ですが、なぜ人気を集めた「ドクターイエロー」のように車体を黄色にしなかったのでしょうか?

 検測機能を搭載しつつ、営業車両として運転する列車であることから、ご利用のお客様にとって営業列車であることが分かるように、車体のベースの色は他の新幹線車両と同様、白色ベースのままとしました。

――「ドクターS」の車内は現行のN700Sと同じでしょうか?

 車内の座席数・配置などは現在走行しているN700Sと同じです。

――「ドクターS」の正式な形式名や編成記号はどうなるのでしょうか?

 正式な形式名は、N700S系0番代となります。編成の記号は現行車両と同じ「J」となります(J60、J61、J62、J64)。

――なぜ4編成も製造するのでしょうか?

 内訳は施設関係2編成、電気関係2編成です。2編成のうち1編成が長期にわたる検査(全般検査など)に入った場合でも、検測を継続できるようにするためです。

――「ドクターS」は通常のN700Sと区別して運行ダイヤを公開する予定はあるのでしょうか?

 他の営業列車と同じく、東京~博多間を運行し「のぞみ」「ひかり」「こだま」として運転します。そのため、運行ダイヤを特別に公開する予定はありません。

※ ※ ※

「ドクターイエロー」は検測専用車両、「ドクターS」は検測機能を搭載した営業車両という違いが、車体カラーにも反映された形です。「ドクターS」の車体カラーが営業車両と同じであれば、乗っていい車両なのか乗客が戸惑うこともありません。

 なお、「ドクターS」は2026年度から投入されるN700Sの3次車にあたり、日本車輛と日立製作所の双方で製造するとのこと。この3次車は、パンタグラフへの飛来物付着などを検知して運転士や指令所の係員に通知する機能が設けられるほか、車両データ伝送機能の強化などが図られます。