優しい口調で「潔白証明する」=偽警察官、土地取引装い送金要求―12億円被害の特殊詐欺・愛媛県警

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 愛媛県で、資産家の80代女性が特殊詐欺で計約12億円を詐取される事件があった。優しい口調で「あなたの潔白を証明する」と話す偽警察官を信じ、億単位の金を8回、送金し被害に遭った。過去最高額の被害はなぜ防げなかったのか。
 犯人グループから女性宅に最初の電話があったのは2025年10月30日。薬局店員を名乗る女が「保険証が不正に使われている」と不安をあおり、石川県警捜査員を名乗る男に電話を代わった。「資産が犯罪で得たものでないと証明するため、全財産を送ってほしい」。女性は、柔らかい口調の偽警察官を本物と信じ込んだ。
 「大金なので不動産購入の形で振り込んで」。手口は巧妙だった。愛媛県内の一等地の売買を装う偽契約書を女性宅に送付し、送金手続き時に銀行職員に見せるように指示。「誰にも話さないで。話せば犯罪になる」と口止めも忘れなかった。
 女性は指示されるまま、25年12月~26年2月に計8回、県内の4金融機関から計12億円を指定された口座に送金。1回の送金額は1億1000万~2億円と高額だが、1人暮らしだったこともあり、離れて暮らす家族が気付くことはなかった。
 女性は最初の送金前にも、グループの指示で暗号資産約5000万円分を購入していた。金融機関はこれを不自然な資金移動と判断し、地元の警察署に通報。署の担当者は「詐欺ではないか」と確認の電話をしたが、女性に被害意識はなくそれっきりになった。県警は「警察の対応に不備はなかった」としている。
 特殊詐欺は、全国的に被害拡大が続いている。警察庁によると、25年の認知件数は前年比31.9%増の2万7758件と5年連続で増加。被害額も同約2倍の1414億円だった。警察官をかたる手口の被害が4割を占め、全体を押し上げた。
 金融機関も一定額以上の送金については目的や相手との関係を聞き取るなどして、被害防止に力を入れる。「手口は巧妙化している」(担当者)といい、窓口の職員に注意を促したり、警察との連携を強めたりするとしている。