片目失明者の障害認定は…

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社会に認識されていない片目が見えない方々の会がある。
「NPO片目失明者友の会」だ。この会は片眼を何らかの理由により失明した当事者、あるいは1親等以内の家族に片目失明者が居る人で構成された団体である。
片目失明者は障害者では無い。片目失明をすると対象物を立体視する事は難しく、遠近感が取りにくい。階段を踏み外したり、人や物にぶつかりやすくなってしまう。片目失明になった年齢により、様々な問題が生じる。幼児期は安全に保育する事が難しいからとの理由で保育園入園を断られたり、学童期には体育の授業で球技が出来なかったり、片目の為、両眼視するVRの授業を観る事も適わない。



青年期には、目は外見を形成する重要なパーツである事から、片眼である事により、義眼装着を含めて虐めを受ける方も少なくない。精神的に不安定になり引き篭もり、精神疾患と診断される会員も多くいる。
成人期にあっては、企業から障害者扱いされるも、国の制度により障害者として認められずに健常者扱い、この為就職に受からない会員も多い。就職先も限定されており、警察官、消防士、自衛隊などの職業には就けない。料理人、パテシエなども難しい。自動車免許取得にも制約があり、周囲の理解を得られない事も数多くある。
老年期には、見える目をどう守っていくかが問題となる。緑内障などの疾患で失明、全盲となる恐怖と闘わなくてはならない。
令和8年4月18日(土)に広島にて『NPO片目失明者の総会』が行われた。代表久山公明氏の招きにより、自由民主党副幹事長衆議院議員石橋林太郎先生、広島県議会議員竹原哲先生が登壇くださり、更に相談役を担われる多くの先生方から祝辞を頂戴しての総会が開催された。会の中では相談役の「自由が丘清澤眼科」の医院長清澤源弘先生から片目失明者の方の不便さのお話や、片目の会員からの質問に答えて頂いた。
会の顧問弁護士橋口玲先生や、会員からの活発な議論もあった。過去に、当時の厚生労働副大臣に片目失明者を障害者に認定して欲しいとの署名を3万筆あまり集めて提出したが、未だに認められない。厚生労働省の障害者総合福祉推進事業の「片目失明に対する合理的配慮に関する調査研究」などを少しずつ広め障害者認定を目指している。



幼児期義眼装着者は骨の成長の関係で2ケ月毎に一度、義眼を作り変えねばならない辛い現実への対応も図っていきたい。義眼費用は13万円以上、オーダーメイド、調整料、義眼作製施設までの費用(北海道会員は一番近くて東京にある義眼作製施設になる)など合わせて40万円程度に及ぶこともあり、負担が酷く、義眼作製を経済的理由から諦める会員も少なくない。また、義眼は行政補助が無い為に全額自己負担である。
会員の生活苦負担を軽減させる為に癌患者のウイッグなどに補助をだしているアピアランスケア助成制度を使い義眼に補助を、と2025年から訴え、いくつかの市町村で義眼補助が認められ始めた。先月も東京都の大田区、足立区、西東京市でアピアランスケア助成事業で義眼補助が取り入れられた。
草の根の運動は、会員自らのボランティアで担われている。片腕、片脚が無い場合は直ぐに障害者認定を受け身体障害者手帳が発行されるにもかかわらず、片目が無い方には障害者は認められず身体障害者(視覚)手帳は発行されない。
太平洋戦争時には片目を失明した場合、重度の傷病として扱われ、傷痍軍人の恩給や援助の認定の対象とされた。昭和天皇・香淳皇后から義眼の御下賜などもあった。
現行は交通事故で片目失明になった場合は、後遺障害認定がされ、片目失明者が障害者として認定される場合がある。しかし、生まれつきや小児癌などの病気により片目失明、交通事故以外の事故による片目失明者は認定されない。
「何故同じ片目失明者であるにもかかわらず、障害者認定がされないのか?」会の執行役員が厚労省担当者と面談した際に質疑したが、「国土交通省では、確かに後遺障害認定として片目失明者を障害者認定しているが、厚生労働省と認定基準がイコールでは無い。その為に身体障害者認定はされない。」との解答であった。同じ日本国で、省により認定基準が異なるとは如何なものなのか。
制度の狭間の中、健常者と障害者の狭間にあって公的支援が受けれない事は、合理的配慮に欠き、法的に不備と言わざるを得ない。人には誰にでも人権がある。
一日も早く、片目失明者の方々に身体障害認定がおりる世の中になる事を筆者は願う。

片目失明者友の会のHP

筆者:尚満喜(しょうまき)
NPO片目失明者友の会副代表