米国とイランの終戦に向けた協議が不調に終わり、日本の産業界では楽観ムードが吹き飛び、再び緊張感が高まっている。戦闘や原油高の長期化を前提に、改めて調達先の多様化や製品への価格転嫁などの備えを急ぐ構えだが、事業縮小リスクにもさらされている。
「淡い期待が消えた」「残念」。交渉頓挫を受け、国内メーカー各社には13日、落胆が広がった。一方、「まだ流動的。注視する」(素材)、「交渉を受けてすぐに状況が変わるわけではない」(化学)と、冷静な受け止めも目立った。
旭化成の小堀秀毅会長は同日の記者会見で、「(買い占めが起きた)第1次オイルショックのような状況にならないよう、少しずつ値段を転嫁していく」と述べ、主力製品の「サランラップ」値上げに言及した。パナソニックの豊嶋明社長は「長期化を踏まえ、供給網の変更や材料高騰への打ち手を考える」と語った。
非製造業の懸念も大きい。ファミリーマートの小谷建夫社長は8日、「店舗の電気代が心配。包材も影響を受ける。全てが上昇するのではないか」と指摘。イオンの吉田昭夫社長は9日、「先行きの不透明さで生活防衛意識は継続する」との見通しを示した。
帝国データバンクが今月上旬、原油高がどれほど続けば主力事業縮小につながるか聞いたところ、1686社の43.8%が「6カ月未満」と回答した。経営へのマイナス影響(複数回答)については、7割強が自社車両の燃料費上昇を、6割強が原油由来の原材料価格や物流費・輸送費の上昇を挙げており、事態は深刻さを増しつつある。