
<ファンケルクラシック 事前情報◇16日◇裾野カンツリー倶楽部(静岡県)◇6986ヤード・パー72>
国内シニアツアー1年目で今季2勝を挙げている50歳・岩本高志は、現在賞金ランキング2位につけている。年間16試合あるうち今大会は12戦目となり、シーズンも終盤。トップを走る今季3勝の宮本勝昌とは869万7768円差で終盤戦に突入した。
今年はここまで11試合に出場したうち、トップ10入りが9回と安定感を見せている。逃した2試合のうち、先週の「トラストグループカップ 佐世保シニアオープン」では「パッティングがよくなかった」とストロークの違和感に加え、グリーンのラインが読み切れず、32位タイで終えた。
会場となる裾野カンツリー倶楽部については「グリーンが難しい。自分の元々の調子が悪いというのもあるのかもしれないですが…」とアンジュレーションに警戒。「少し不安はある」と胸の内を明かす。この日は雨のなか、プロアマ戦で18ホールをプレー後、練習グリーンで慎重に調整していた。
ルーキーイヤーで「複数年シード獲得」を目指す岩本は、3年シード獲得となるメジャー優勝を一番の目標としていた。しかし「日本シニアオープン」は6位、「日本プロゴルフシニア選手権大会 TBURAYAFIELDS HD ULTRAMAN CUP」では9位に終わり、念願の達成はならなかった。
残された手段は「賞金王しかない」。賞金ランク1位に輝けば、メジャー同様3年間のシードが付与される。「宮本さんっていう本当に高い壁があるので、なかなかそこを乗り越えていくことは難しいと思う。でも、宮本さんがまたここで優勝して、差がついちゃったら面白くないし、最後まで少し食らいついていけるようなプレーができたらなと思っています」。1400万円の優勝賞金で逆転し、宮本との差を広げたい。
1998年にプロ転向した岩本はレギュラーツアーでの優勝経験はないが、それでも悲願の初優勝に向けて昨年の49歳まで国内男子下部ツアーに参戦してきた。もちろん、賞金王争いの経験はない。レギュラーツアー通算12勝とシニアツアー通算9勝を誇る宮本とシニアになって争えることに「幸せですよね。いろんな経験をさせてもらってるし、いままでなかったことだから幸せです」と実力者と競う喜びを噛みしめている。
また、例年通りであれば、来季の海外シニアメジャーへの道も開く。これまでシーズン終了時点の賞金ランキング上位4位までの選手には翌年の「全米シニアオープン」、「全米プロシニア」、さらに賞金ランキング10位までの上位2名には「全英シニアオープン」の出場権が与えられてきた。
「やっぱり行きたいですけど…。あまり、そこまでは考えてないです。だけど、頭の隅には少しある。チャンピオンズツアーの予選会がなくなったって聞いて、タイガー・ウッズがもし出るんだったら出たい。でも、まだ残りの試合があるので、全力でやって、“その結果”っていうぐらいしか考えていないです」
岩本が言うように、9月に米国男子シニアツアー(PGAツアーチャンピオンズ)に参戦するための予選会(QT)の廃止が決定した。そして、今年12月30日で50歳を迎えるタイガー・ウッズ(米国)は、「カートでプレーできるのがいい」「昔の仲間と再びプレーしたい」などの思いを明かしており、来季は同ツアーに参戦する可能性も示唆している。米ツアー通算82勝を誇る英雄と同じステージに立てる可能性に、挑戦意欲を示した。
しかし、まずは一番の目標である複数年シード獲得のために残りのシーズンも気を引き締めていく。(文・高木彩音)