
兵庫県の瀬戸内沿岸で春の風物詩として親しまれているのが、醤油や砂糖で甘辛く味付けをしたイカナゴのくぎ煮です。茶色く炊き上がったイカナゴが、まるで錆びた釘のように見えることからその名が付けられたと言われています。毎年2月から3月頃がイカナゴ漁業の解禁時期です。明石港や神戸市の垂水港で、早朝に出港して水揚げされたイカナゴの1年魚である新子が、昼頃には近隣の魚専門店やスーパーマーケットの店頭に並びます。昼網の新鮮なイカナゴの新子を生かして、自宅でくぎ煮を炊く人が数多くみられ、春先には、町中の至るところでくぎ煮を作る香りが漂ってくるのです。また、イカナゴのくぎ煮を販売する業者も、神戸周辺には複数みられます。
くぎ煮に使うイカナゴは、2~4cm程度のものが適しているとされています。くぎ煮に向くサイズのイカナゴが手に入るうちに、鮮度の良い新子を使って炊き上げるのが、くぎ煮を美味しく作る上で欠かせない重要なポイントとなっています。
くぎ煮は、生姜を加えて炊き上げるのが定番ですが、他にも神戸市北部の有馬名産の山椒を加えたもの、食感のアクセントになるくるみを加えたもの、と様々なバリエーションがみられます。
家庭で炊いたくぎ煮は、親しい人への贈り物として保存容器に入れて各地に送る人もみら
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