2026年11月8日、日本のプロサッカー史に新たな金字塔が打ち立てられた。J1第14節、MUFGスタジアム(国立競技場)で行われたヴィッセル神戸と浦和レッズの一戦で、浦和のGK西川周作がJ1通算673試合目のピッチに立ち、遠藤保仁氏が持っていた最多出場記録(672試合)を抜いて歴代単独トップに躍り出た。
今年の6月に40歳を迎えた今季も、正GKとして君臨し続ける西川。しかし、節目の試合を白星で飾ることはできなかった。浦和は後半アディショナルタイムにMF金子拓郎のゴールで逆転したものの、土壇場の90+4分にFW武藤嘉紀に同点弾を許し、2−2のドローという結果に。「率直な感想は、やっぱり勝ちきれなかったという悔しさが非常に強い」。試合後、悔しさを滲ませた西川だったが、自身の偉大な記録については周囲への感謝を惜しまなかった。
「いつも通りの1試合と思いながら向かおうとは思っていたんですが、たくさんの方の応援もあって、多少意識してしまっている自分がいました」と明かした上で、「これも応援してくれる方のおかげ。この試合数に満足することなく、1試合1試合の責任を持ってこれからも戦っていきたい」と力を込めた。
長きにわたるキャリアを支えてきたのが、家族の存在だ。「僕一人じゃここまでプレーできなかった。若くして結婚して、本当に奥さんには一番感謝しています」と語る西川。特に「時には厳しいことも言ってくれるし、嘘をつかないで正直によくないところをはっきり言ってくれる」という夫人の言葉が、大きな力になってきたという。そして、「子どもたちが大人になっても記憶に残るように、できるだけ長くプレーする姿を見せていきたい」と、父親としての顔ものぞかせた。
西川を突き動かす原動力の一つに、同世代の存在がある。「長友佑都だったり本田圭佑だったり、同世代の選手たちから刺激をもらっている」と、今も現役を続けている同級生たちの名前を挙げつつ、長友がかつて語った「尖ってなんぼ」という姿勢に共感。「年齢を重ねたから丸くなるのではなく、尖ってやっていくことで下もついてくる」と、その重みを噛み締める。また、同日にJ1通算400試合出場を果たした同じく40歳のGK東口順昭(ガンバ大阪)の名前も口にし、「彼らの活躍っていうのも僕の刺激になっている」と続けた。
前人未到の大記録を達成しても、西川の視線は常に先を見据えている。その目標はただ一つ、浦和でのリーグタイトル獲得だ。「浦和レッズの一員として優勝して、浦和の街をパレードするっていうのは僕のひとつの夢です」。笑顔の守護神は、その夢を叶えるために、これからもゴールの前に立ち続ける。