スマホに「ブッダ」「お坊さん」=AI活用、仏教界で模索―情報漏えいリスクも

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 仏教界で、人工知能(AI)を活用する取り組みが始まった。人口減や「墓じまい」による檀家(だんか)の減少、仏教への関心の希薄化といった課題解決の一助にしようと、スマホでブッダの教えに触れられるサービスや住職向けの情報管理ツールも登場した。ただ、AIには誤回答が付きもので、サイバー攻撃による情報流出リスクもある。宗教とAIを巡る試行錯誤が続いている。
 「SNSを見過ぎてしまう」「感覚的な快楽の本質を見極めるべきだ」―。スマホに打ち込んだ悩みに答えたのは、ブッダの説法などで構成される経典「スッタニパータ」の一節。仏教対話型AI「ブッダボットプラス」は経典を引用して質問に回答、その解釈も分かりやすく示してくれる。
 開発したのは、熊谷誠慈京都大教授(仏教学)と京大発ベンチャーのテラバース(京都市)。仏教の衰退を憂える僧侶から相談を受け、2021年に初期モデルを製作。23年に米オープンAIの「チャットGPT」を活用し、複数の経典を読み込ませた現行版を発表した。
 ブッダボットは海外でも注目され、チベット仏教を国教とするブータンで昨年、学習用教材として導入が決まった。僧侶教育などを担う中央僧院のチョテン・ドルジ前事務次官は「書籍より簡単かつ正確に経典を学べる」と評価する。
 また、仏壇などを手掛ける菩提(ぼだい)樹(愛知県小牧市)は今年4月、寺院運営を支援するLINEサービス「AI副住職くん」の提供を開始した。檀家情報を一元管理し、法要の日程調整などが容易にできるほか、住職の語り口を学習したAIチャットボットが檀家の質問に答える。
 僧籍も持つ菩提樹の中沢一洋代表は、「事務作業が楽になる分、お坊さんは(檀家との)交流に時間をかけるべきだ」と狙いを説明する。導入した聖覚寺(愛知県愛西市)の三輪典生住職は「檀家がお寺を思い出してくれるきっかけになるのでは」と期待を寄せる。
 ただ、AIの急速な進化に伴い、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクも格段に大きくなっている。熊谷教授は「誰にも聞かれたくない悩みなどが漏えいしたらショックは大きい」と指摘。「(AIを使う上で)重要なのは人々の幸せにつなげるという目的や動機。仏教にAIをどの程度持ち込んでいいのかはまだ分からない」と話している。 
〔写真説明〕「ブッダボットプラス」のチャット画面
〔写真説明〕「AI副住職くん」の相談画面
〔写真説明〕「ブッダボットプラス」のイメージ図(京都大提供)
〔写真説明〕熊谷誠慈 京都大教授(本人提供)
〔写真説明〕チョテン・ドルジ ブータン中央僧院前事務次官(本人提供)