フジ、ドラマ制作における生成AIの活用を本格化 一部工程で作業工数を最大70~80%削減「救命病棟24時」でも実践

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フジテレビは11月5日、公式サイトを更新。ドラマ制作に生成AIの活用を本格的に進めると発表した。

◆フジテレビ、ドラマ制作に生成AIの活用を進めると報告

同サイトでは「7月の組織変更でデジタル戦略統括室内に『AIセンター』を新設した」と報告。同センターのもと、湾岸スタジオにAI活用の実験場「AI Sandbox」を設置し、実写ドラマ制作における生成AIの活用を本格的に進めていることを明らかにした。同局系の月9ドラマ『救命病棟24時』(毎週月曜21時~21時54分)をはじめ、すでに複数のドラマで活用しているという。

「救命病棟24時」の制作では、撮影前に監督が思い描く映像を生成AIで可視化し、制作・技術スタッフ間で共有。完成イメージを事前にすり合わせた上で撮影方法を検討し、従来の映像制作技術やVFX、AIなどを「作品のクオリティ」を第一に使い分けているという。具体的には、医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは再現が難しい事故現場の表現などにAIを活用。第1話の爆発事故シーンでは、AIで生成した架空の空撮風景に煙を合成する手法も取り入れている。

また、同局では、撮影前の準備段階から脚本や目指す映像を共有し、実写撮影、VFX、CG、生成AIなどの中から、作品やシーンに適した制作手法を選択。従来の撮影条件では難しかった表現に取り組むとともに、現場の負担軽減や安全性の向上を図るとしている。また、生成AIを活用した一部の映像制作工程では、従来の手法と比べて作業工数を最大70~80%削減できることを確認。ただし、この数値は特定工程の検証結果であり、作品全体の制作費の削減率や、制作工程全体の平均削減率を示すものではないと説明している。

今後は、2026年10月期から毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」に設定し、「AI Sandbox」を活用した作品制作を進める方針。こうした取り組みで得た経験や知見を社内で蓄積・共有し、活用の幅を広げていく。さらに、2027年10月をめどに、フジテレビが制作するすべてのドラマで、作品やシーンに応じてAIを活用できる体制を整えるとしている。(modelpress編集部)

◆全文

フジテレビは、7月の組織変更でデジタル戦略統括室内に「AIセンター」を新設した。同センターのもと、湾岸スタジオにAI活用の実験場「AI Sandbox」を設置し、実写ドラマ制作における生成AIの活用を本格的に進めている。すでに今期の『救命病棟24時』(毎週月曜21時~放送中)をはじめ、複数のドラマで活用しており、クリエイターの発想を映像で実現する新たな選択肢として、表現の幅を広げるとともに、より良い制作環境づくりにつなげていく。

フジテレビは現在、地上波ゴールデン・プライム帯の連続ドラマを年間16本制作している。撮影を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、作品の世界観や演出意図を実現することが求められている。こうした環境の変化に対応するため、生成AIを制作手法の一つとして取り入れ、活用する方法を検討する。撮影前の準備段階から脚本や目指す映像を共有し、実写撮影、VFX、CG、生成AIなどの中から、作品やシーンに適した手法を選ぶ。従来の撮影条件では難しかった表現に取り組むとともに、現場の負担軽減や安全性の向上を図る。

「AI Sandbox」は、AIセンターのもと、第1スタジオ(ドラマ・映画制作センター)、テックアートデザイン局、AI関連企業の株式会社ANDENTなどで構成するプロジェクトチームが、9月より運用している。ドラマ制作に携わるディレクターやプロデューサー、技術スタッフが、外部のAIプロデューサーやAIデザイナーとともに、実際の制作を通じて活用方法を検証している。生成AIを活用した一部の映像制作工程では、従来の手法と比べて作業工数を最大70~80%削減できることを確認した。なお、この数値は特定工程の検証結果であり、作品全体の制作費の削減率や、制作工程全体の平均削減率を示すものではない。

現在放送中の『救命病棟24時』の制作において、「AI Sandbox」を活用中。撮影前に、監督が思い描く映像を生成AIで可視化し、制作・技術スタッフで共有。完成イメージを事前にすり合わせ、撮影方法を検討し、従来の映像制作技術、VFX作業、AIなど、さまざまな制作方法を「作品のクオリティ」を第一に使い分けている。AIを医療シーンの細かな映像処理や、実際の撮影だけでは実現が難しい事故現場の表現などに活用している。

2026年10月期から、毎クール1本以上のドラマを「AI強化枠」に設定し、「AI Sandbox」で実際の作品制作に挑戦する。かかる取り組みを通じて得た経験や知見を社内で蓄積・共有し、活用の幅を広げていく。2027年10月をめどに、フジテレビが制作するすべてのドラマでAIを、作品やシーンに応じて活用できる体制を整える。その後、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の映像関連企業にも取り組みを展開し、2029年度には、FMH全体で国内トップベンダーレベルのAI活用機能を保有することを目指す。

フジテレビは、これまで培ってきた映像制作技術とAIを組み合わせ、制作と技術が一体となって、クリエイターの発想をより自由に映像として実現していく。今後のフジテレビ制作のドラマにご期待いただきたい。

・コメント

真崎晋哉:フジテレビ テックアートデザイン局長補佐(「AI Sandbox」技術統括)

「『AI Sandbox』を始めたのは、AIで何ができるかが見えつつある中で、実際に手を動かし、作品づくりの中で試す場所が必要だと考えたからです。『救命病棟24時』では、最新のAI技術の活用に取り組んでいますが、すべてをAIで作るのではなく、従来のVFXなどと組み合わせ、作品にとって最も良い方法を制作スタッフと一緒に考えています。効率化だけでなく、映像表現の幅を広げ、その経験や知見を社内に蓄積することが、『AI Sandbox』の大きな目的です」

長嶋大介:フジテレビ第1スタジオ ドラマ・映画制作センター部長 (戦略・ビジネス開発・制作推進担当)

「視聴者の目は非常に肥えています。限られたスケジュールの中で、いかにクオリティの高い作品を届けるか、制作者は日々苦心しています。今回の取り組みは、AIという新たな選択肢を加え、連続ドラマ制作のワークフロー全体をアップデートしていくものです。場所、天候、法令、安全面などの制約で撮影が困難なシーンの表現から、制作初期のイメージ共有まで、活用の場面は多岐にわたります。現場のプロデューサーからも『取り得る選択肢が増えていくのは大変助かっている』という声を聞いています」

足立遼太朗:フジテレビ1スタジオ ドラマ・映画制作センター(『救命病棟24時』プロデュース)

「『救命病棟24時』シリーズで初めて「AI Sandbox」チームが参画しました。撮影前から監督が思い描く場面を具体的な形(画像・映像)で共有し、実写と映像処理をどう組み合わせるかを制作・技術で検討しています。『こういう場面を見せたい』という思いを出発点に、実現方法を一緒に考え、撮影に臨めることを心強く感じています。特に災害シーンや海外設定のシーンでは、想像を超える映像クオリティが実現しています。AIは単なる効率化にとどまらず、映像表現の可能性を大きく広げる技術だと実感しています」