【ワシントン時事】11月の米中間選挙をにらみ、与党共和党と野党民主党は連邦下院の選挙区割りを自党に有利になるよう再編する「ゲリマンダー」を各州で実施した。一連の変更により、全米で共和党は差し引きで5議席前後を上積みできるとみられているが、15議席程度という当初の目標には届かない見通し。ゲリマンダーで得られる議席数だけでは、同党の不利を覆すには不足だという見方が大勢を占める。
「区割り戦争」の引き金を引いたのは、トランプ大統領だ。区割り変更は通常、10年ごとの国勢調査の結果を踏まえて各州ごとに行われる。しかしトランプ氏は2025年、「新たに5議席を獲得できる」として、30年の次回調査を待たず、州政を共和党が牛耳る南部テキサス州で区割りを見直すべきだと主張。テキサスは昨年8月、変更手続きを終えた。
この後、テキサスに対抗したり、追随したりする動きが活発化。さらに最高裁が今年4月、区割りに当たり、民主党支持者が多い人種的少数派(マイノリティー)に配慮するよう求めた法律の適用を制限する判決を出すと、共和党の地盤である南部州でゲリマンダーが加速した。
共和党は結局、フロリダ、テネシーなど計7州で区割り変更を実現。民主党主導の選挙区再編はカリフォルニアとユタの西部2州にとどまり、共和党が区割り戦争に勝利したかのように見える。
ただ、共和党の計算は、ヒスパニック(中南米系)有権者からトランプ氏が予想外の支持を集めて勝利した24年大統領選の実績に基づき区割りを変更したことなどで、狂いつつある。長引く物価高や強硬な不法移民政策などを背景に、トランプ氏の支持率は大きく落ち込んでおり、とりわけ景気回復に期待を寄せて同氏に票を投じたヒスパニックの支持離れが進んでいる。
テキサスでは、共和党がヒスパニックの支持を当て込んで再編した複数の選挙区で接戦が伝えられる。バージニア・コモンウェルス大のアレックス・キーナ准教授はテキサスの状況について「共和党は古い区割りのまま戦った場合よりも振るわない可能性がある」と予測。全米レベルでも、ゲリマンダーが下院選の結果に与える影響は「それほど大きくない」と分析した。