人気スポットがまさかの「不法占拠」状態!? 富士山に一番近い道の駅で起きている裁判沙汰とは

今、空き家がビジネスになる理由

静岡県小山町にある道の駅「すばしり」で、運営会社の交代が止まっています。町は施設の明け渡しを求めて提訴、前管理者は約1億6000万円を求めて反訴する事態に。指定管理者制度をめぐるトラブルの背景を取材しました。

新しい管理者は決まっている…なぜ交代できない?

 国土交通省は2026年9月4日、新たに3駅を「道の駅」として登録したと発表し、全国の道の駅は1234駅となりました。しかし現在、その1234駅のうちの1か所が法廷での争いの種になっています。

 その駅とは、静岡県小山町にある道の駅「すばしり」です。国道138号沿いにあり、全国「道の駅」連絡会の公式Webサイトでは“富士山に一番近い道の駅”と案内されている人気施設。売店やレストランのほか、無料の足湯も備えています。

 筆者(宇野 智:モーターエヴァンジェリスト)が2026年9月に現地を訪れた際も、通常通り営業している様子で、外から見て揉め事が起きているようには全く見えませんでした。

 しかし水面下では、施設の設置者である小山町と、前の指定管理者である「観光開発株式会社」が、互いに訴えを起こす泥沼の事態に発展しているのです。

 問題の背景には、自治体が公の施設の管理を民間企業などに任せる「指定管理者制度」があります。小山町の公式Webサイトによると、観光開発との指定管理期間は2026年3月31日で終了しており、次期指定管理者は名鉄ミライートに決定していました。

 ところが新しい管理者が決まっている一方で、施設の引き継ぎをめぐる争いが勃発。観光開発側が4月以降も施設で営業を続けるという、異例の事態が続いています。

明け渡し時期と費用負担めぐり主張対立

 小山町は、「指定管理期間が終了した後も観光開発が施設の明け渡しに応じず、不法に占拠している」と主張しています。静岡朝日テレビが4月27日に報じたところによると、町は建物の退去や土地の明け渡し、そして未納だとする2025年11月から2026年3月までの施設使用料(およそ800万円)の支払いを求めて提訴しました。

 一方の観光開発側は、「協定では3月末まで営業し、4月1日から原状回復工事を行った後に明け渡すことになっていた」と真っ向から反論。未納とされる使用料についても、町に対する修繕費用相当額の請求権と相殺したため、未払いには当たらないとの立場をとっています。

 さらに事態はエスカレートし、観光開発側は7月6日付で反訴に踏み切りました。静岡第一テレビが7月7日に報じた内容によると、請求額は1億6000万円余りに上ります。その内訳は、厨房改修など約5000万円を投じた設備投資の立替金(現在の相場換算で約7000万円)と、町側の説明で信用を傷つけられ新規事業が白紙になったなどとする損害賠償約9000万円です。

 町としては、次期指定管理者の責任によらない理由で円滑な施設引き継ぎができていないとして、施設の明け渡しが確定するまで「当分の間は町による暫定管理になる」としています。

 一見のどかな道の駅で繰り広げられる前代未聞のトラブル。解決の糸口はまだ見えていません。