俳優/映画監督・斎藤工発案の劇場体験を届ける移動映画館「cinema bird(シネマバード)」(※「e」はアキュート・アクセントを付したもの)は、10月18日(日)に、京都府京都市右京区の旧京北第一小学校体育館にて『cinema bird in 京都・京北』を開催。16回目のイベント実施となった。
◆俳優/映画監督・斎藤工発案「cinema bird」
cinema birdは、2014年に宮城県石巻市で初開催して以来、福島や熊本、北海道、石川などの被災地を中心に、お寺や体育館といったさまざまな場所を1日だけ映画館に変え、映画や音楽、お笑いを通じて「同じ空間で感動を共有する」劇場体験を届けてきた。2024年には、長年にわたり被災地や映画館のない地域へ文化芸術を届け、地域に根ざした活動を続けてきた功績が評価され、令和6年度文化庁長官表彰を団体受賞。その表彰式が行われた京都の地で、今回、16回目となるcinema birdの開催が実現した。
オープニングには、斎藤、古賀小由実、スペシャルゲストの永尾柚乃、そして自身も京都出身で、MCを務める谷尻萌が登壇。開催にあたり、発起人の斎藤は「cinema birdは今年2026年で12年目、これまでに16回、地域と地域、人と人を繋いでいく、その中心にこのcinema birdがあるというような旅をしています。2年前には文化庁長官表彰というすごく立派な賞をcinema birdが団体受賞させていただき、そのご縁で、京都市さんにこの京北という場所でcinema birdを開催しませんかとお声がけをいただき、実現しました。本日は楽しい時間を過ごしてください」と語った。
また、世界を変える30歳未満の30人を選出し、世界を変革する未来の若い才能に光を当てるアワード「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2026」にて、9歳にして同アワード史上最年少受賞を果たした俳優・映画監督・脚本家の永尾は「実は私、お餅が大好きなんですね。京北は納豆餅が有名ということで、さっき納豆餅を食べたんですけど、とても美味しかったんです!きなこの甘みに納豆のしょっぱさがちょうどいい感じで、買って帰ろうかなと思っています。今日はよろしくお願いします!」と、大人顔負けの食レポとともに笑顔で挨拶した。
さらに、学校の思い出にまつわるトークでは、10月15日(木)に10歳の誕生日を迎えたばかりの永尾が、「算数、国語、理科、図工、体育、社会全部好き。好きじゃないものはないです!」と元気いっぱいに回答。斎藤から、永尾が小学2年生の頃に世界中の猿の生態を調べたという自由研究について紹介されると、永尾は「3年生の頃はお団子とお餅の歴史を、今年はサメを研究しました!」と、尽きることのない好奇心を見せた。そんな永尾に対し、斎藤が「でも実年齢はもっとだいぶ上だと思ってるんで」と切り出すと、永尾が「何歳ぐらいだと思います?」と質問。斎藤が「72歳。いつも勉強させていただいています」と、10歳とは思えない豊富な知識と人生経験を感じさせる受け答えを絶賛すると、永尾も「いやいや、こちらこそです」と謙遜し、息の合った掛け合いを見せた。
一方、斎藤は、体育館で遊んだ幼少期の思い出を振り返りながら、会場に旧京北第一小学校の卒業生がいることを知ると、「子どもたちがワイワイしていた当時の景色を知っている皆さんが、改めてこういったイベントでこの場所に集まることもなかなかないと思うので、今日は童心にかえって、楽しい時間を過ごしてください」と呼びかけ、会場をあたたかな空気で包み込んだ。
◆「cinema bird」常連の永野、京都・京北に笑い届ける
cinema birdといえば、映画上映に加え、アーティストライブやお笑いライブがあることも魅力のひとつ。まずは開場とともに、斎藤と古賀による音楽ユニット「cinema birds」がウェルカムソングを披露。ギターとピアノの美しい音色に、斎藤の甘い歌声と古賀の風のように透き通る歌声が重なり合い、会場が優しい音色に包まれる中、音楽に導かれるように、京都・京北での特別な一日が幕を開けた。
お笑いライブには、cinema birdの常連メンバーである永野が登場。「きたああああああああ!」と絶叫しながらステージに現れると、「ただただネタを披露します!」という宣言通り、息つく間もなく次々とネタを披露。さらに、永野の呼び込みでスペシャルゲストの永尾が急遽参戦するも、「でも、黙っててください!」「僕が主役なんで!」と、まさかの永尾を脇役にネタを披露する一幕も。そんな永野の自由奔放なステージに、永尾も「面白かったです!」と太鼓判を押した。
さらに、代表ネタ「ラッセン」では、会場の子どもたちとのスペシャルコラボレーションが実現!ステージ上に予想を超える数の子どもたちが集まると、さすがの永野もタジタジに。「ラッセンが好きより普通に京北が好き〜!」と、この日限りのご当地バージョンも披露し、会場が手拍子に包まれるなど、子どもから大人まで巻き込んだ笑いと熱狂のステージとなった。
続いて、古賀が「永野さんのステージの熱を、音楽でクールダウンしましょう」と、『My Favorite Things』、『命の名前』といったcinema birdならではの名作映画を彩る楽曲をカバー。最後にはオリジナル楽曲『ヒカリ』を披露し、優しい歌声で会場を包み込んだ。また、産休・育休を経て久しぶりのcinema birdへの参加となった古賀は、「cinema birdはブランクがあってもほっとする場所ですね。本当にありがたいです。ちょっとしたことで泣きそうになる。拍手だけで涙腺が」と、復帰の喜びを語った。
◆斎藤工、12年越しの念願叶う
そして、スペシャルライブには、京都出身のシンガーソングライター・birdが登場。実は、斎藤にとってbirdとの共演は、cinema bird始動当初から抱き続けてきた念願だったそう。「12年前に飛び始めたこのプロジェクトのひとつの目標として、birdさんにご一緒していただけたらという野望がずっとあったんですけど、birdさんの地元が京都ということで、この上ないタイミングでご一緒していただけることになりました」と、喜びを語った。
そんな斎藤の想いを受けてステージに登場したbirdは、「今日はものすごく気持ちの良い秋のお天気ですね。とても嬉しいです。ぜひ皆さんと一緒に楽しい時間を過ごせたら」と挨拶。ギタリストの樋口直彦とともに、故郷・京都の地でスペシャルライブを届けた。
◆斎藤工&永尾柚乃、映画への想い語る
今回上映したのは、1960年代の神戸を舞台に、日本で生まれたベルギー人の女の子・アメリの成長、そして、アメリの目を通して映し出される世界の美しさや、家族との日々、新たな出会いが色彩豊かに描かれた長編アニメーション映画『アメリと雨の物語』(日本語吹替版)と、斎藤が声の出演に加え、斎藤として企画・原案・脚本を担当し、世界の子どもたちに届けるために製作した短編クレイアニメーション『映画の妖精 フィルとムー』(写真、右)の2作品だ。
上映前には、斎藤と永尾が登壇。斎藤は、今回『アメリと雨の物語』を選んだ理由について、「今回のcinema birdでは何を上映しようかと、この京北という場所を想像しながら考えていたときに、1本のフランスのアニメーション映画に試写で出会い、とても感銘を受けたんです。ベルギーの少女が関西で成長していく物語なんですけど、その日本語吹替版のアメリ役が柚乃さんだったんですね。すごく運命的に。柚乃さんが来てくれるからこの作品にしたというよりは、この京北という場所で上映するにふさわしい作品が、たまたま柚乃さんの出演作だったんです。偶然だけど偶然じゃないなって、今日感じております」と、作品との運命的な出会いを明かした。
ひとりで観る映画も素敵だけれど、誰かと一緒に観るからこそ生まれる感動もある。同じスクリーンを見つめながら、それぞれの心に異なる物語が刻まれていく。映画館のない京北地域で、映画が持つそんな特別な力を分かち合う時間となった。
◆永尾柚乃ら、イベント振り返る
イベントの最後には、出演者たちが再びステージに集結。永野は「今日も楽しませていただきました。ありがとうございました」と感謝を伝え、MCの谷尻萌は、かつて京北で家族とバーベキューを楽しんだ思い出を振り返った。
また、古賀は「いつもいろいろなエンターテインメントをごちゃまぜにしたcinema bird。笑ったり、泣いたり、感動したり、いろいろな気持ちをまたお家に持ち帰ってください」と、来場者にメッセージを送り、今回がcinema bird初参加となったbirdは「京都でライブをするのはすごく久しぶりだったので、私もしのぐさん(樋口さん)もすごく楽しかったですし、皆さんの手拍子にすごいグルーヴがあって、それに乗せて演奏を楽しむこともできました」と、故郷でのライブを回顧。手拍子や熱気あふれる拍手に包まれながら、イベントは締めくくられた。