東京湾岸道路「“無料の”多摩川トンネル」どこまでできた? 抜けても「その先に行けない」しかし大きな整備効果

今、空き家がビジネスになる理由

国道357号「東京湾岸道路」の一部として計画されている「多摩川トンネル」の整備が進んでいます。羽田空港と川崎臨海部を直結する無料のトンネルです。

羽田~川崎を直結「多摩川トンネル」とは

 国土交通省関東地方整備局は2026年9月、国道357号「東京湾岸道路」の事業再評価を実施。このなかで「多摩川トンネル」の整備状況を明らかにしました。

 多摩川トンネルは、羽田空港と川崎市の浮島町を結ぶ延長約3.4kmの海底トンネルです。首都高湾岸線の多摩川トンネルに並行して都県境をまたぐ一般国道357号のトンネルとして整備が進められています。

 東関東道と首都高湾岸線に沿って千葉から東京、横浜まで続く国道357号は、いくつか“未開通部”が存在します。羽田空港から川崎市に至る都県境区間もそのひとつです。2019(令和元)年度に工事着手し、現在はシールドトンネル本体を掘り進めるための起点となる「立坑」の工事などが進められています。

川崎の「奥の奥」から開ける東京への道

 首都高湾岸線は多摩川トンネルで川崎市に入ると、さらに「川崎航路トンネル」で東扇島に渡り、扇島を経て横浜へと続きます。しかし、国道357号は「川崎航路トンネル」に相当する区間は事業化されていません。つまり、羽田空港から川崎へ渡ったとしても、埋立地の突端である浮島町に出られるだけです。

 それでも多摩川トンネルには大きな整備効果が見込まれています。

 現在、川崎市浮島地区から東京方面へ向かう交通の約6割は、第一京浜(国道15号)や産業道路といった内陸部のルートを利用しており、慢性的な渋滞が課題となっています。このために、川崎駅などから浮島地区までバスで1時間くらいかかってしまう、との声も。こうした通勤の不便さが事業所の採用にも大きく影響しているとの声があります。

 そこで、川崎の“奥の奥”にあたる浮島から東京側へ直接ルートが開ければ、内陸部の交通分散にもつながり、浮島から大井ふ頭への移動時間は現在の産業道路経由と比較して約12分短縮されると試算されています。

 他方、工事は大きな課題にも直面し、事業費がかなり増額になっています。なかでも大きいのが、トンネルと浮島地区を結ぶランプの形状やルートの変更です。当初予定されていたルートでは現地調査の結果、地中に大量の大きなコンクリート殻を含む地盤であることが判明し、そもそものルートを変更したのだそう。この構造変更で約740億円、さらに必要なコンクリート殻の撤去で約140億円増しとなりました。また、羽田側の立坑でも、地中に鋼矢板やH型鋼が多数分布し、その撤去工事で約25億円の増額となっています。