空前絶後の個性派「石油が混ざった温泉」を体験! “日本最北の自動車道”で“日本最北の温泉郷”へ タオル注意!?

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北海道宗谷地方にある「豊富温泉」は、石油成分を含んだ独特の泉質で知られる日本最北の温泉郷です。アトピーなどの湯治客も訪れる、その個性的な温泉を体験しました。

“異質さ”を感じる日本最北の温泉郷

 北海道は、硫黄の強い香りで知られる「川湯温泉」、太古の植物に由来するモール温泉が特徴の「十勝川温泉」、多彩な泉質で知られる「登別温泉」など、魅力的な温泉地が広い道内に点在しています。そうした北海道の温泉でも、とりわけ個性の強い温泉地が、宗谷地方の豊富町にある「豊富温泉」です。

 豊富町の市街地から南東に7kmほど、自動車専用道である豊富バイパスの「豊富サロベツIC」からは5kmほどに位置する豊富温泉は、“日本最北の温泉郷”として知られ、稚内空港からは約45km、クルマでは約45分のアクセスです。

 泉質は「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性高張性温泉)」「含ヨウ素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(弱アルカリ高張性冷鉱泉)」とされています。ただ実際の泉質は、湯に触れ、身体を浸す前に“異質さ”が感じとれます。じつは豊富温泉の湯には石油成分が含まれ、その“独特の香り”が温泉地に香っているのです。

 豊富温泉の発祥は大正末期にさかのぼります。当時この地区では石油の試掘が進められていましたが、その掘り進めた孔から、天然ガスと油分を含んだ温泉が噴き出したのです。

 翌年にはこの源泉のそばに小屋が建てられ、温泉としての歴史がはじまりました。

 まずは温泉に含まれる油分から、火傷に効く温泉との評判が広まり、さらにほかの皮膚病にも効能があることが知られました。現在では、アトピー性皮膚炎など、皮膚疾患に悩む利用者が湯治に訪れるほど、その評価は高まっています。

「ふれあいセンター」で湯治を体験

 さて、この豊富温泉の独特の泉質を体感できるもっとも手軽な施設は、町営日帰り温泉入浴施設「ふれあいセンター」でしょう。

 駐車場にクルマを止め、施設内に入るとすぐに入浴券の券売機があります。一般利用(豊富温泉街に住民票がある人以外の利用)での入浴料は大人(中学生以上)510円、小学生250円、65歳以上300円と、手ごろです(2026年9月現在、以下同)。

 ただここでひとつ注意点があります。豊富温泉は、湯に含まれる油分により、タオルには色や独特の臭いが付く可能性があることです。施設にはレンタルのタオルはありませんが、フェイスタオルが350円、バスタオルが800円で販売されています。色や匂いが気になる方は購入したほうがいいでしょう。

身体の芯から温まる不思議な湯

 ロビーを過ぎて奥に進むと、男女ともそれぞれふたつの浴室が用意されています。ひとつが「一般浴場」で、もうひとつが「湯治浴場」です。

 湯治浴場はアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬を癒やすために長く入れるよう、お湯の温度が38〜39度になっています。通常の日帰り入浴であれば、湯の温度がやや高めに設定された一般浴場で大丈夫でしょう。

 さて、浴室内に足を踏み入れると、まず感じられるのが強い油の香り、そしてぬめっとした床の触感です。アルカリ性の温泉では、床がぬるぬると感じることがありますが、ここの触感はそれとも違って、“油で滑る”ような印象です。

 浴室はけっして大きくはありませんが、入浴した時間帯は、浴槽のなかで十分に手足を伸ばしてくつろぐことができるくらいの混み具合でした。

 やや茶色く濁った湯を手ですくって肌をさすると、ここでもぬめっとした味わいがあります。湯温はそれほど熱くはありませんが、湯の温かさが肌を通して入ってくるように、身体がぽかぽかと温まってきます。

 全身浴、半身浴を繰り返しながら30分ほど過ごすと、肌は湯に含まれる油のためか、入浴前よりもしっとりしている印象です。

 今回はそのまま身体を軽く拭き、服を着ても、服に色や臭いが付くことはありませんでした。しかし時季によって湯のコンディションは異なる可能性もあるので、薄い色の服を着ている場合は、浴室を出る前にシャワーを浴び、身体をしっかり拭いたほうがよさそうです。

 入浴後は稚内市のホテルに向かいました。日暮れからは冷え込む9月下旬の宗谷地方ですが、ホテルへの道中でいただいた夕食時も含め、温められた身体はそれほど寒さを感じずに過ごすことができました。ただ身体には油の臭いがかすかに残り、列車など他人との距離が近い状況では、ちょっと怪訝な顔をされたかもしれません。

 なおふれあいセンターでは、湯治経験のあるスタッフ、健康相談員、健康運動指導士がサポート、指導する「コンシェルジュ・デスク」を設置、本格的な湯治の相談にも応じています。ほかにはない泉質を味わいたい方、本格的な湯治に興味のある方は、この最北の温泉郷を一度訪れてみてはいかがでしょうか。

【▶】マジで“アブラ” これが「石油を含む温泉」です(動画で見る)