また車が「崖から落ちた」国道で緊急事故対策←そもそも「高規格化を」と県要望 高速道路が“途切れたまま”四半世紀

空き家の85%、1年後も空き家

国土交通省は、死亡事故が相次いだ山形県の国道112号「月山道路」で緊急の事故対策工事を実施します。これに対し、県はそもそもの道路の「高規格化」を要望しています。

相次ぐ死亡事故受け“緊急対策”

 国土交通省 酒田河川国道事務所は2026年10月15日、国道112号「月山道路」の鶴岡市田麦俣地内において、事故対策工事を実施すると発表しました。

 現場は2026年8月25日、道路沿いにある店舗の駐車場から乗用車が崖下に転落し、運転していた男性が死亡した場所です。乗用車は国道を走行中にガードレールのない部分から飛び出す形で、駐車場を越えてそのまま転落したと見られています。この事故を受け、関係機関による合同点検が行われていました。

 対策工事の内容は、崖への転落を直接防ぐための「樹脂製防護柵」の設置が中心です。

 あわせて、駐車場への誤進入を防ぐガードパイプや、凹凸を設けて通過時に音と振動で注意を促す「ランブルストリップス」、凍結を抑制しつつ音も出す舗装などを設置します。ほかにも、前後区間に「カーブ注意」の路面標示や、車道外側線の高輝度化、クッションドラムの設置など、多岐にわたる対策が10月21日から11月下旬にかけて実施される予定です。

いや、そもそも「高規格化」して――課題ある月山道路

 事故現場では、2023年にも2人が死亡する同様の転落事故が発生し、対策が行われていましたが、再び死亡事故が起きた形です。

 これを受け、山形県の吉村美栄子知事は9月、国土交通省に月山道路の抜本的な改良を求める要望書を提出しています。そもそも月山道路は安全な通行に課題があるとして、早期の「高規格化」を求めました。

 この月山道路の月山IC~湯殿山IC間(約21km)は、東北道と日本海側を結ぶ山形道の未開通部となっており、四半世紀にわたり一般道が高速道路網を代替している区間です。

 複数のトンネルを有する自動車専用道ではあるものの、日本有数の豪雪地帯であり、急勾配と急カーブが続く冬の“難所”として知られています。東北で唯一、タイヤチェーンが必須の「チェーン規制区間」にも指定されています。

 山形県内で内陸の村山地方と日本海側の庄内地方を結ぶ主要ルートは、この月山道路経由か、北へ大回りする国道47号経由にほぼ限られます。月山道路が通行止めになると物流や生活に大きな影響が及ぶことから、4mを超える積雪があっても通行を維持しているものの、除雪作業員の確保という課題にも直面しています。

 山形県は高速道路としての整備を諦めておらず、2021年には「新広域道路交通計画」の構想路線として「(仮称)庄内内陸月山連絡道路」を盛り込んでいます。死亡事故を機に、改めて高規格化を要望した形です。