動いてはダメ!? 5分前から準備をはじめる海上自衛隊「自衛艦旗」掲揚のルール

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海上自衛隊の艦艇で目にする、日の丸によく似た「自衛艦旗」。いつ、どこに掲げるのかはもちろん、掲揚・降下時の隊員の振る舞いまで細かな決まりがあります。その知られざる作法を紹介します。

毎朝8時に「旗」を掲揚。その瞬間、隊員はどうする?

 海上自衛隊の艦艇に掲げられている日の丸によく似た旗。一般的に「旭日旗」や「軍艦旗」と呼ばれたりしますが、これらの呼び方は旧日本海軍に由来するもので、防衛省・自衛隊では「自衛艦旗」と呼びます。

 自衛艦旗は、防衛省・自衛隊に所属する艦艇であることを示す大切なもので、実は掲げる場所や時間など、細かなルールが決められています。

 そもそも、自衛艦旗と日本国旗(いわゆる日の丸)を掲げる位置も明確に定められており、まず停泊中の艦艇では艦尾に自衛艦旗を、艦首には国旗が掲げられます。

 なお、自衛艦旗は午前8時に掲揚し、日没になると降下します。これは旧日本海軍以来の伝統であり、海上自衛隊にも引き継がれました。

 これらの旗は“なんとなく”掲げているわけではありません。国旗および自衛艦旗は大切に扱うべきシンボルなのです。掲揚にあたっては艦内で「自衛艦旗揚げ方5分前」という号令がかかり、隊員たちは旗の揚げ降ろしに備えます。ちなみに総監部など陸上部隊では自衛艦旗は掲げないため、「国旗揚げ方5分前」という号令になります。

 そして、自衛艦旗を揚げ降ろしするとき、隊員たちは姿勢を正して最大限の敬意を示します。

 旗が見える場所にいる自衛官は、帽子をかぶった制服姿なら挙手の敬礼。私服なら「不動の姿勢」と呼ばれる、いわゆる気をつけの姿勢になります。旗が見えない場所にいても、最寄りの自衛艦旗に対して姿勢を正します。椅子に座っている場合も、同じように姿勢を正します。

 自衛官が乗ったクルマも旗の揚げ下ろし中は基地内で停止します。一方、業者など民間のクルマはそのまま基地内を走行できるため、揚げ下ろし中にスイスイ走っていく車があれば、「あ、この人は民間人だな」とわかってしまう、そんな効果もあります。

 大切な旗の揚げ下ろしももちろん安全が最優先。入港や出港など危険を伴う作業中は、作業が優先。だからか、たまたまその時間にトイレにいた場合も「作業に従事している」として省略されるんだとか(笑)。たしかにトイレで敬礼するわけにいきませんからね。

 では、艦艇が出港すると自衛艦旗はどうなるのでしょうか。

出港したら自衛艦旗はどこへ?

 停泊中は艦尾に掲げられている自衛艦旗ですが、出港するとメインマストに自衛艦旗を掲げ、航海中は常時掲揚されます。

 メインマストに旗を移すときは、艦尾の自衛艦旗を先に掲揚し、その後メインマストへ自衛艦旗を掲揚します。最後に艦尾の旗を降ろすという順番です。わずかな時間であっても、艦に旗が掲げられていない状態を作らないための工夫です。

 艦艇には何旒か旗のストックがあるので、艦尾からメインマストに運ぶ必要もありません。余談ですが、式典などのときは旗のストックから一番綺麗なものを使ったりするといった、細かな気遣いも。

 ちなみに狭い航路を航行中、船同士がすれ違う場面も多いのですが、商船から敬礼(半旗になる)されることがあります。そのときは護衛艦も答礼のために自衛艦旗を半旗にするそうです。

 掲げる時間や場所、隊員の動きまで細かなルールがある自衛艦旗。もしも一般公開などで旗の揚げ下ろしの時間帯に基地へ行くことがあれば、ぜひその作法を見学してみてください。隊員にとっては毎日のことですが、厳かな時間にこちらも背筋が伸びてしまいます。