幹部? 曹士? 謎の階級「准尉」ってどんな人? 大型護衛艦でも、わずか数人の激レア階級の正体とは

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海上自衛隊のレア階級「准尉(准海尉)」。その名前から幹部だと思われがちですが、えりすぐりのベテラン海曹だけがたどりつく狭き門なのです。

「尉」とつくが幹部ではない

 海上自衛隊には、諸外国の下士官や兵に相当する「海曹」と「海士」、そして「海尉」「海佐」「海将」と呼ばれる幹部まで、さまざまな階級があります。そんななか、ちょっと不思議な階級といえるのが「准尉」ではないでしょうか。

「尉」と付いているから幹部なのだろうと思いきや、准尉は幹部ではありません。海上自衛隊の場合、「准海尉」は「海曹長」と「海尉」の間に位置する階級で、身分としては曹側にいる、少し複雑な存在なのです。

 准海尉になれるのは、規定の年齢や経験年数などの条件を満たしたベテラン海曹長。さらに指導力や勤務実績などを含めた選考を経て昇任するため、誰でもなれるわけではありません。その割合は、イージス艦などの大きな艦艇では約300人の定員に対して多くても5人程度、中には0人という艦も。そう聞くとかなりの激レア階級であることがわかります。

 そんな准尉の特徴は、長年培ってきた専門知識と経験です。下士官を指揮する幹部とは違いますが、機械のクセや過去のトラブルなど、教科書だけでは分からない「現場の知識」を豊富に持っています。

 海上自衛官で夫のやこさんに「准尉ってどんな人?」と聞いてみたところ、「とにかくこの人に聞けば大丈夫ってくらい艦のことに詳しい人」と答えていました。まさに“海の生き字引”です。

 ところで、海の生き字引というと、思い浮かぶ存在があります。それは、私が大好きな映画『亡国のイージス(2005)』で活躍したヒーロー、「先任伍長」です。先任伍長もベテラン海曹が選ばれる役割です。では准尉と先任伍長には、どのような違いがあるのでしょうか?

「准海尉」と「先任伍長」は別もの……ではない!?

 准尉も先任伍長も古株の隊員ですが、先任伍長は学校でいうところの学年主任のような存在で、准尉はベテラン教師といった立ち位置になります。

 先任伍長の仕事が部隊の曹士を統括し、艦長の補佐であることに対して、准尉は専門領域における高度な業務管理という役割の違いがあります。また、そもそも先任伍長は役割であって、階級ではありません。

 と、ここまでなら「准尉と先任伍長は似ているけれど別もの」で話は終わります。ところが、ここでちょっとしたニュースがあります。

 なんと、2026(令和8)年から、准海尉も先任伍長に指定されるよう制度が改正されました! これまでは基本的に海曹長が、そして海曹長が配置されていない部隊では1等海曹が指定されていた先任伍長ですが、現在は准海尉もその役割を担うことができます。

 つまり、「専門分野のベテラン」である准尉が、「部隊の曹士をまとめる先任伍長」にもなるケースが登場したというわけです。ややこしすぎるよ、海上自衛隊……。

 というひとりのオタクの嘆きはさておき、現在全国には約330名の先任伍長が配置されており、それぞれが隊員の服務の指導や士気の向上、部隊の団結強化などに取り組んでいます。これからは、その准尉が先任伍長として部隊をまとめる姿も見られるかもしれません。

「尉」と付いているのに幹部ではない。そして、専門家として現場を支えるだけでなく、先任伍長として隊員をまとめることもある。「准尉」は、どうにもこうにもややこしい海上自衛隊のベテラン階級ですが、艦艇や部隊を陰から支えるみんなの親分であることに変わりはありません。