え、2ストのバイクがまだ“新車”で!? 現役モデル6選 「公道OK」も

2兆円超 日本の航空機産業に注目

排出ガス規制で姿を消したはずの2ストロークエンジン。しかし、現在も世界では現行モデルが販売されており、日本でもまだ、乗れます。

2ストに力を入れる3社を横目に、「やがてなくなる」と予測していたホンダ

 かつては実に多く存在した2ストロークエンジン搭載のバイク。年々強化されていった排出ガス規制と合わせて姿を消していきましたが、世界に目を向けると、実は現行モデルとして複数のメーカーが新車をリリースしています。

 4ストロークエンジンよりもシンプルで、部品点数が少なく軽量であり、レスポンスに優れたパワーを発揮する2ストロークエンジン。かつて日本でもカワサキ、ヤマハ、スズキといったメーカーがレーサーやモトクロッサーなどに数多く採用してきました。

 ホンダも一部のレーサー、モトクロッサーなどに2ストロークエンジンを採用していましたが、当初より本田宗一郎は「2ストロークエンジンの騒音や白煙、オイルの排出などから、やがて環境や社会から受け入れられなくなるだろう」と判断し、消極的な姿勢を貫いていました。

 本田宗一郎の予想は的中し、90年代以降に2ストロークエンジンのデメリットが問題視されるようになります。そして1998年、2006年の排出ガス規制に適合できるモデルがなくなり、日本国内では2ストロークエンジン搭載のバイクが廃盤となりました。

 ちなみに公道モデルの国内最後のバイクは2007年に終売となったヤマハ・RZ50で、以降、公道を走れる2ストロークエンジン搭載のバイクは、中古車を除いて姿を消しました。

 他方、草刈機、チェーンソーなどの携帯作業機や、オフロードレース用の競技モデルでは以降も2ストロークエンジン搭載のまま開発が続き、2026年現在も日本のカワサキをはじめ、世界のバイクメーカーが「2ストの新車」を製造し続けているのでした。

カワサキもある! 現役2ストモデルとは?

 世界的な排出ガス規制は主に「公道を走る乗りもの」に対してで、ナンバーを持たないクローズドコースを走るための競技車両の場合は、この規制の適用外となります。また、「速さ」のみを追求した場合は、4ストロークよりも2ストロークのほうが合理的であり、こういった事情が「2ストの新車」が販売されている理由でもあります。

 ここからはその「2ストの新車」のモデル個々を見ていきましょう。

●カワサキ・KX327X

 カワサキとしては19年ぶりとなるフルサイズの2ストロークエンジンを搭載したオフロード・コンペ・モデル。同社初のフューアルインジェクション搭載の2ストローク単気筒エンジンを採用したクロスカントリーレーサーで、強力なパワーとコントロール性を両立。かつて絶大な人気を誇ったKDXシリーズを彷彿とさせるレスポンスの良さで、オフロードファンから熱い視線を注がれる1台となっています。

●KTM・300EXC SIXDAYS

 オーストリアのバイクメーカー、KTMによる世界最高峰の2ストローク・エンデューロ競技用バイク、300EXCにファクトリーパーツを標準装備した特別仕様車。「キング・オブ・ハードエンデューロ」として知られ、2スト特有の強力な加速力が自慢のモデルです。

●ハスクバーナ・TC300

 スウェーデン発祥のバイクブランド、ハスクバーナによる300ccクラスのトップエンドモデル。最新の電子制御燃料噴射システム・EFIを搭載した2ストロークモデルで、ハンドルスイッチで、路面状況に合わせて2つのパワー特性の切り替えができるなど、合理的かつ瞬発力ある走破性が持ち味です。

●GASGAS・EC300

 スペインのバイクメーカー、GASGASのエンデューロ向けモデルです。軽量化された新型2ストロークエンジンを搭載し、従来モデル以上のパワフルなパフォーマンスと、トルクフルな粘りを実現。エンジンをわずかに後傾させフレームにマウントさせているのが特徴で、このことでスプロケットの位置を下げ、マスの集中を高めてハンドリングを向上させています。

●Beta・RR2T 300レーシング

 1905年創業の歴史あるイタリアのバイクメーカー、Betaのモトクロッサー、RR2Tシリーズのフラッグシップモデル、RR2T 300。近年の2ストローク・モトクロッサーの多くがインジェクションを搭載しているのに対し、あえてのキャブレター式。特にトルクフルな走りが自慢で、悪路でこそその力強さを発揮する1台です。

ついに登場した公道モデルの2ストバイク!

 このように、主にオフロードの世界では今も2ストロークエンジン搭載のバイクが現役バリバリで活躍しているわけですが、いずれもナンバーを持たないクローズドコースを走るための競技車両です。

「公道走れないんじゃ、ここまで読んだ意味ないぜ」とお嘆きの方に、最後に公道用の2ストロークモデルを紹介します。それが2026年に発売されたイタリアのバイクメーカー、VINSによるドゥエチンクアンタという250ccのバイクです。

●VINS・ドゥエチンクアンタ

 現代の排出ガス規制「EURO5」をクリアさせたVツイン2ストロークエンジンを搭載したモデルですが、特筆すべきは独自開発のFI(フューエルインジェクション)システムです。リードバルブの上流にインジェクターを配置し、ギロチン式のスライドバルブで吸気量を制御するという独特の構造で、高回転・低回転双方での優れたポテンシャルを発揮します。

 そして、エンジン単体の重量わずか28kgにして75psの最高出力を誇り、「現代版2スト」としては全方ヨシの1台に仕上がっています。

 もちろん、日本の公道でも走ることができますが、完全受注制。正規輸入販売元・モータリストまたは同社の販売ネットワーク店でオーダーし、おおむね3か月前後で完成するモデルです。

忘れられないよね~2スト…

「2スト全盛期」に青春時代を過ごした筆者は、環境面では現代の基準に合わないことを承知の上で、正直を言えばあの音、レスポンスの良さ、軽快な乗り味を恋しく思っていました。

 大半のバイクメーカーが2ストロークエンジン搭載モデルを絶版にして20数年が経過する今、実はモトクロッサーでは現役モデルが複数あり、さらに2026年にはVINS・ドゥエチンクアンタ ストラーダという公道モデルが登場したことに驚きと感動を覚えました。

 願わくば、今も2ストロークのモトクロッサー、KX327Xを製造するカワサキに、現代の基準に適合させた画期的な2ストロークの公道モデルを開発してもらえないものかとも思っています。