「いろはの恋は時代をかける」“タイムスリップ要素はもともとなかった”宮崎真佐子Pが語る 上白石萌音・向井康二・山中柔太朗・大森元貴の印象も【インタビュー】

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上白石萌音主演のTBS火曜ドラマ「いろはの恋は時代(とき)をかける」が10月13日(火)よる10時からスタートする。放送を前に、宮崎真佐子(※「崎」は正式には「たつさき」)プロデューサーにインタビュー。オリジナルストーリーである本作が生まれたきっかけや、伝えたいこと、キャストの印象などについて聞いた。

◆上白石萌音主演「いろはの恋は時代(とき)をかける」

本作は、令和の小学校教師の身体に江戸娘の魂がタイムスリップしたことからはじまる、300年の時を越えたロマンティックコメディ。男勝りな江戸娘・いろは(上白石)の魂が、令和の小学校教師・梨木彩葉(上白石/二役)の身体にタイムスリップ。思わぬ形で夢だった教師になったいろはは、彩葉の同僚・一ノ瀬生琉(向井康二)とともに、教育格差、不登校、モンスターペアレント、教師の業務過多など、現代の小学校を取り巻く問題に向き合っていく。

◆コメディ×小学校×和服が似合う主人公 何もないところから始まった作品作り

― オリジナルストーリーである本作は、どのように生まれたのでしょうか?

脚本の長田育恵さんとご一緒するのは、今回が初めてになります。NHK連続テレビ小説「らんまん」(2023年)を見て「すごく素敵な脚本を書かれる方だな」と思って、ずっと気になっていました。放送が終わってしばらく経ってから、お声がけして初めてお会いして「一緒にやらせてください」というお話をしました。その時点では、何のネタも、どんな話をやりたいというのもなく、一から話を始めました。お互い企画案を出し合って、「こういうのやりたいです」みたいな形で打ち合わせをしました。最初は、弁護士ものやミステリーなど、いろいろな案が出ました。その中で、私から学校ものを一つの案として出したんです。しかも、高校や中学校ではなくて、小学校を舞台にしたもの。小学校を取り上げるドラマはとても少なく、やってみるのはどうかというところから始まりました。

― その後、キャスティングなど、さらにどのような過程を経て作り上げていきましたか?

主人公には上白石萌音さんを挙げさせていただきました。過去に2回ご一緒させていただいたのですが、彼女はお芝居のコメディに持っていける力がすごいなと思っていて。そして、和服が似合う(笑)。コメディで、小学校の先生で、和服が似合う主人公。長田さんは、時代ものの脚本力がある方ですし、(お話ししていく中で)長田さん自身「江戸時代の算学好きの女の子って面白いと思います」とおっしゃっていたのもあって、今の形になりました。実は、タイムスリップ要素はもともとなかったんです。最初は普通に現代の小学校を舞台に、先生がいろいろな悩みを抱えている、みたいな話を考えていて。そこに「上白石さんは和服が似合うから着てもらいたい。じゃあ、時代ものと組み合わせるのはどうか」「上白石さんの1人2役は新しいし、彼女の魅力がより出るのではないか」となって作り上げていった感じです。

◆上白石萌音・向井康二・山中柔太朗の印象

― 江戸娘のいろはと令和の彩葉の2役を演じる上白石さんのお芝居を間近で見ていかがですか?

江戸時代の人を演じるということが、どこまで実現できるかは、上白石さんの力にかかっていました。実際に、令和の彩葉から江戸のいろはに豹変(ひょうへん)するシーンのお芝居を見て「いける」と。そこで安心したというか、「この作品は大丈夫だな」と感じました。「絶対やりたいです」と自らおっしゃって、撮影に入る前に江戸言葉や立ち居振る舞いのお稽古をすごくされていて。その成果が豹変するシーンではすごく出ていたと思います。以前別の作品でご一緒した時から5年ほど経って、当たり前なのですがとても大人になられていて。今回ご一緒して、以前よりももっと台本を深く理解してお芝居されているなと。先々の展開まで見越してやられている。集中力や、見せ方のバリエーションの多さという面で、パワーアップされているなと感じました。

― 一ノ瀬生琉を演じる向井康二さんの印象についても教えてください。

普段Snow Manとしての姿は拝見していたのですが、金曜ドラマ「フェイクマミー」(2025年)を見て、「すごくまっすぐなお芝居をする人だな」と思っていました。向井さんも深く台本を読み込む方で、ご自身でしっかり考えてきて、現場に臨まれるんです。普段「こういうふうにしたいです」というのを、私含め監督からもお話しするのですが、今回はほとんど言っていないかもしれません。最初から向井さんならではの生琉ができていて、やっていくにつれて生琉という役がさらに膨らんでいって。第1話ももちろん良いのですが、どんどん話が進むにつれて、よりみんなが応援したくなるキャラクターに仕上げてくれているなと思います。

― 彩葉・生琉と同じ小学校で教師として働いている真島礼二役の山中柔太朗さんの印象についてはいかがですか?

山中さんについてはずっと前から「顔がきれいな人がいるな」と思って(笑)、出演されている深夜ドラマなどを拝見していました。実は真島という役は、山中さんの出演が決まってから、ほぼ当て書き(特定の俳優を想定して脚本を執筆すること)のように考えていったんです。向井さん演じる生琉もそうですが、真島も回を追うごとに成長が見られるキャラクターになっていますし、演じる山中さんご自身も、気持ちが見えるお芝居でどんどん成長されているなと感じています。

― 第1話の放送で、詳しい役どころが明らかになる大森元貴さんについてはいかがでしょう?

大森さんの役は、一番“おいしい”役と言いますか(笑)、このドラマ全体の化学反応を起こす役なので、俳優畑じゃない人にお願いするのもありなんじゃないかなと思ったんです。そんな時に、上白石さんと大森さんがコラボ歌唱されている映像を見まして。それがすごくいい感じだなと思い、お声がけさせていただきました。

◆取材を通して知った先生たちのリアルな声

― ラブコメディでありながら、現代の教育現場での問題に深く切り込む社会派な一面もあるストーリーだと感じました。

そうですね。火曜ドラマをやるにあたって、ラブコメ要素はとても大事で、そこもしっかり描かなければいけないのですが、やるからには見てくれた人に気づきを与えるような作品にもしたいと思っています。今回小学校を舞台にするにあたって、現役の先生たちにたくさん取材をさせていただきました。ニュースを見ているだけでは分からないことが、先生たちに聞いてみるとたくさんありました。もちろん大変なこともたくさんあると思いますが、取材した先生たちは「でもやっぱり楽しいんです」とおっしゃっていて。それが最終的にこのドラマでも伝わるといいなと思っています。教育問題にも切り込みますが、その問題に頑張って対処している先生たちがいること、そして、“先生”という子どもたちの未来を作る仕事の良さみたいなものが同時に伝わるといいなと思いながら作っています。

― 取材の中で、印象的だった先生たちの姿はありますか?

職員室でどういう話をされているのかを聞いたら、私たちも普段会社で話しているような愚痴を言い合ってるって聞いて。「意外と先生だって普通なんだな」と思いましたし、ドラマにも結構取り入れています。あと、「毎年、夏休みまでをカウントダウンしています」とおっしゃっていて、「みんな一緒なんだな」と(笑)。自分が子どもだった時は、先生たちがそんなことを言っているなんて思ってもいなかったけれど、「そりゃそうだよな(笑)」と思いました。

◆いろいろな人に向けた言葉が詰まった脚本

― たくさんの話し合い、取材を経て完成した脚本の魅力について教えてください。

長田さんは、書きたいテーマをとてもたくさん持っている方。現代社会について思っていることを、今回は小学校が舞台、というところに落とし込んでいただきました。本当にさまざまな伝えたい事が出てきて「ちょっとこのネタまでやっていたら終われないね」となったくらい、伝えたいことがたくさんありました。その中で「これってこういう意味にもとれるね」みたいな感じで、小学校や教育分野に関わらず感じていることを、物語に落とし込んで見事に昇華させていて。3年3組の児童に対して話しているシーンだけど、実は主人公いろはに向かって言っていたり、いろいろな人に向けての言葉でもある、みたいな。その手法がすごいと思いました。