怒涛の「18段連続スイッチバック」が日本にあった! 下流域を守る天空の“ジグザグ軌道”を上空観察

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日本には世界でも類をみない18段連続スイッチバックがあります。場所は立山連峰の常願寺川上流の国土交通省立山砂防工事専用軌道です。ダイナミックな構造を空から目線でお見せします。

立山カルデラに続く専用軌道

 立山連峰の室堂平は、立山黒部アルペンルートの中継地点であり、行楽シーズンとなると国内外からの観光客や登山者でにぎわいます。室堂平から西に弥陀ヶ原が広がり、そこから南下すると常願寺川の谷に一気にストンと落ちます。この川に沿って走っているのが、国土交通省の立山砂防工事専用軌道(以下、立山砂防軌道)です。

 立山砂防軌道は、常願寺川の砂防ダム建設工事に使われています。軌間は狭く610mm。砂防ダムは、脆い立山カルデラから発生する土石流を食い止めるため、明治時代から整備が進められている事業で、その資材輸送に立山砂防軌道は活躍しています。

 軌道は1929(昭和4年)に開通。立山駅付近の千寿ヶ原から常願寺川に沿って水谷へ至る約18kmの路線です。工事専用のため一般者は乗れません。

 沿線で特筆されるのは連続スイッチバックです。水谷へ至る直前の樺平(かんばだいら)で200mの高低差を克服するため、18段連続のスイッチバックを設けているのです。さらにここ以外にもスイッチバックは複数存在します。

 このようにユニークな特徴を持つ立山砂防軌道ですが、工事専用軌道ということもあって一般にはあまり知られていません。というのも、我々が普段目にしにくい立山連峰奥地にあるためです。

 常願寺川沿いの険しいルートを登る立山砂防軌道の姿を、小型機から空撮写真として捉えました。軌道は弥陀ヶ原南側のV字の谷底に敷かれています。立山駅がある千寿ヶ原は立山砂防軌道の要衝です。大型の機関庫があるほか、運搬資材の積み込みや作業員の乗車もここで行われています。

 軌道は千寿ヶ原から常願寺川の上流部を目指して、右岸の狭い斜面を遡ります。スイッチバックやトンネルが連続しますが、地形が脆いため新たにトンネルを掘るなどしてルート変更を繰り返しています。なかには鬼ヶ城トンネルのように新しいトンネルを掘ったものの、直上の斜面が崩落してトンネルが埋まってしまい、旧トンネルを復活させた例もあります。

 小型機は樺平の18段連続スイッチバックに到達しました。山の斜面に軌道がジグザグに敷かれていて、大胆な線形を前に思わず息を飲みます。18段の全容が見て取れ、ここまで連続するスイッチバックは言葉を失うほどの威容です。ポイントの切り替えは自動で行われ、途中には待避線の引込線も用意され、上下列車が交換するときは無線交信で行われます。

 立山砂防軌道は1929(昭和4)年に千寿ヶ原~樺平間が開通し、水谷へはインクラインや索道で結ばれていました。やがて輸送力増強のため1965(昭和40)年に18段スイッチバックが建設されたのです。

 軌道は毎年11月末から翌年3月までの冬季は運休します。脆い地形のため毎年のように損傷箇所があり復旧作業が行われてきましたが、2024年3月末の点検で大規模な崩落が複数箇所で発見され、部分復旧は進んだものの、まだ水谷まで復旧していません。

 立山砂防軌道は、砂防事業紹介の見学会の一環で、一般人も抽選で体験乗車できる見学コースがあります。ただし軌道が完全復旧していないため、このコースは中止が続いており、現在は5分程度の体験乗車ができるコースがあるだけです。そのコースも2026年分はすでに締切となり、いかに砂防ダムと立山砂防軌道が人気か伺えます。職員と工事関係者の方々の日々の安全を祈り、軌道の完全復旧を願っています。