アジア大会制覇まであと2勝…U-21日本代表主将・市原吏音「何としても優勝」 同世代のA代表入りにも刺激「みんなに負けたくない」

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 アジア競技大会制覇を目指す大岩剛監督率いるU-21日本代表、ここまではホンコン・チャイナ(香港)、キルギス、タイといった格下相手に3連勝し、順当に準々決勝まで勝ち上がってきた。

 決勝トーナメントからは相手の強度や闘争心が一気に上がる。準々決勝のU-23北朝鮮戦はまさにそう。相手にはA代表経験者も含まれていて、若き面々にとって難敵なのは間違いなかった。案の定、日本は序盤から相手の球際の強さや寄せの激しさに苦しみ、思うようにボールを保持できなかった。傑出した突破力を誇る左ウイングの横山夢樹も2枚がかりでマークされ、つぶされるシーンが目立った。逆にカウンターを食らう場面も頻発し、守備陣はギリギリの守備を強いられたが、大会途中から合流したキャプテン・市原吏音を中心にガッチリと跳ね返し、失点を許さなかった。

「相手はずっと前線から追ってきていたので、確実に疲弊するだろうなと感じていましたし『後ろはノーリスクで』というのは喋りながらやっていた感じです。北朝鮮は球際一つとってもタフで、それに対して受け身になってしまったのも事実。そのメンタリティは自分らも学ばなければいけないなと思いました」
 
 市原は日本の倍近い18本のシュートを放ってきた北朝鮮の凄みを改めて体感。体を張って零封することだけに集中したという。そういった中、前半39分に佐藤海宏の浮き球の縦パスにンワディケ・ウチェ・ブライアン世雄が抜け出し、ややファウル気味になりながらも一撃をお見舞い。虎の子のこの1点を守り切って1−0で勝ち切ったのは、チームとしての大きな前進だろう。

「正直、後半の半分過ぎからずっと苦しかったですし、押し込まれる時間もありましたけど、これをゼロに抑えられたのは自信になる。一つ荒木(琉偉)に助けられましたけど、この勝利はチームの成長にもつながると思います」とキャプテンも安堵感をにじませた。

 その市原だが、ご存じの通り、2026年1月にRB大宮アルディージャからオランダ1部のAZへ移籍。海外キャリアの一歩を踏み出したが、現時点ではトップチームの試合に絡めず、主にヨングAZ(リザーブチーム)で2部リーグに参戦している状況だ。「僕としてはどれも大事な1試合だし、全てをかけている。いろんな人が見てくれていると思うし、A代表で同世代の選手が活躍している中で自分もそこを目指しています。1日も早くたどり着けるように、1日1日に大切にしなければいけないですね」と背番号5は自らに言い聞かせる。

 実際、市原と同じ2005年生まれの塩貝健人、2006年生まれの後輩・佐藤龍之介は目下、A代表の一員として活動中。市原は彼らとのコミュニケーションをマメに取っている様子で「昨日も龍之介と健人とビデオ電話をしました」と話を切り出した。「彼らと話したのは、A代表の練習とか選手のこととか。いい刺激をもらっていますし、負けずに頑張りたいですよね。塩貝って、何かと話題になるじゃないですか。その裏話とかも喋りました(笑)。自分は健人を一番分かっている自信もあるし、よく電話をしているので、(ウルグアイ戦ゴールの時に)どういう気持ちだったのかもよく理解できます。健人はいい意味でメディアの方々に作られちゃってる印象がある。『メディアに出ているのが全てじゃないよ』と僕から伝えたい。彼も彼で悩んでいる時期があったんで、それが一つ形になって、僕自身も嬉しいですね」。

 そうやって仲間を常に気遣えるところが市原の素晴らしさ。非凡な統率力と人間力を備えているのは間違いない。ロサンゼルス五輪世代の絶対的リーダーが、一歩先に上のカテゴリーに昇格している仲間たちに追いつこうと思うなら、アジア大会でのタイトル獲得はマスト。大岩監督の信頼をガッチリとつかみ取り、来年以降の新A代表の主軸になっていくことが肝要なのだ。

「(後藤)啓介、(齋藤)俊輔も向こうに行っているので、みんなに負けたくないと思っていますし、次の監督が大岩さんということで、みんなそこに向けてギラギラしている。いい刺激をし合えているのかなと思います。この大会の優勝とA代表昇格は別物ですけど、みんな優勝したいのは一緒だし、これまで日本は韓国にずっと負けている。今回は自国開催ですし、何としても優勝しなければいけない。そこを目指して、あと2つ、しっかり戦っていきます」

 市原が語気を強めるように、まずは30日の準決勝・U-23ウズベキスタン戦でしっかりと勝ち切り、10月3日に控えるファイナルに進まなければならない。その相手は“兵役免除”を狙う韓国が有力。高い壁に阻まれてきた日本が宿敵を撃破し、頂点に立てれば、A代表の若返りもより一層、加速していくだろう。市原にはそのけん引役として異彩を放ち続けてほしいものである。

取材・文=元川悦子