【ベルリン時事】ドイツで今月実施された3市州の議会選で、メルツ政権に対する強い不満が示され、政権の将来が見通しにくくなっている。首相退陣を求める「メルツ降ろし」が収まらず、連立与党間の緊張が高まる上、勢いを増す排外的な極右野党「ドイツのための選択肢(AfD)」は倒閣を目指して揺さぶりをかけている。
6日の東部ザクセン・アンハルト州議選では、メルツ氏率いる保守与党キリスト教民主同盟(CDU)が惨敗した一方、AfDが過半数に迫る大勝。20日の北東部メクレンブルク・フォアポンメルン州議選に至っては、「国民政党」を標ぼうしてきたCDUが結党以来、州レベルで初めて全議席を失い、退潮に歯止めがかかっていない。
「誰からも人事の話は出なかった」。歴史的大敗から一夜明けた21日、メルツ首相は党幹部会合後に記者会見でこう強弁し、交代論の打ち消しを図った。しかし、安定さが売りで人口最大の西部ノルトライン・ウェストファーレン州のブスト州首相(51)が来年4月の議会選で順当に勝てば、メルツ氏に代わり担ぎ上げられるとの見方は多い。
ただ、メルツ氏がそこまで持ちこたえられるかさえ予断を許さない。党の危機感は大きく、切羽詰まった「草の根」の地方議員や党員からの退陣要求が、制御不能に陥る恐れがある。
メルツ氏としては、直面する社会福祉改革と経済再建をやり遂げ、求心力回復につなげたい考え。だが、連立を組む中道左派の社会民主党(SPD)との調整は容易ではない。自助努力や市場経済を重視するCDU内では、手厚い公助を主張する社民党に譲歩しすぎているとの不満がくすぶり、連立解消論が公然と唱えられている。
国全体の政党別支持率でも首位に立つAfDは、CDUの内紛をあおる。AfDのワイデル共同党首は9日の議会演説で、CDU議員らをこう挑発した。「左右の同僚を見ておきなさい。どちらかはもう次の(選挙後の)議会に座っていないでしょう」。
〔写真説明〕21日、ベルリンで記者会見するドイツのメルツ首相(AFP時事)