「そこが今の自分の主戦場」日本代表初招集の松木玖生、“右サイド”で存在感発揮へ「いいイメージでできる」

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 青森山田高校時代の2021年に高校3冠を達成した頃から、日本サッカーファンの注目の的だった松木玖生。2022年に入団したFC東京では、ルーキーイヤーから主力の座をつかみ取った。その活躍ぶりが認められ、2023年のU-20ワールドカップ、2024年のAFC U-23アジアカップなど、年代別代表の大舞台にも次々と参戦し、実績を積み上げていった。

 当時は「北中米ワールドカップの有力候補の一人」という呼び声も高かったが、2024年夏に海外移籍に踏み切ってからは思うような軌跡を描けずに停滞。A代表に上り詰めるまでに予想外の時間がかかってしまった。「この2年間は本当にいろいろな経験をしたなというのが一番ですね。いろいろなポジションをやりましたし、サウサンプトンで出られない時期もあった。それを自分のエネルギーに変えられたからこそ今がある。難しい2年でしたけど、それが今に生きていると思います」と本人はA代表の一員として記念すべき第一歩を踏み出した22日の練習後、しみじみとこう語っていた。

 FC東京時代を知る多くの人々は、ボランチかシャドーでプレーする松木を想像するだろう。しかしながら、初練習のゲーム形式で陣取ったのは右ウイングバックや右サイドバック。一時的に堂安律とポジションを入れ替えて右シャドーに入ったシーンもあったが、今回の森保ジャパンではサイドプレーヤーとして使われることが濃厚か。本人はその起用法を非常に前向きに捉えているという。

「今、サウサンプトンのサッカーを見ている人は分かると思うんですけど、今季はあの役割を担うことがすごく多いんです。周りの人は『なんでウイングやってるんだ』と言うかもしれないですけど、そこが今の自分の主戦場。そこでやれているんで、いいイメージでできるかなと思います」と自信をのぞかせる。かつて松木は自分のストロングを「ボックス・トゥ・ボックスでプレーできるところ」と語っていた。それをサイドに置き換えると、ダイナミックな走力を武器にタッチライン際を献身的にアップダウンできるというメリットになる。

 加えて球際に強く、ボール奪取力もある。サイドでの守備面でも安心だ。堂安や伊東純也をインサイドに置いた時、松木はしっかりと守備でもサポートできるだろう。そう考えると、この起用法は理にかなっていると言える。同ポジションのライバルになり得る菅原由勢、中野就斗らとも異なる味を示せるはずだ。「自分の特徴は1対1のところであったり、そういうシーンが多く見られると思う。そこでボールを奪い切ることだったり、攻撃につなげることを意識してやっていければいい」と本人も何をすればいいか明確に理解したうえでピッチに立とうとしている。

 右ウイングバックとして一定の地位を確立しようと思うなら、周りに溶け込み、連携面を確立させていくことも重要ポイントだ。松木の頼もしいところは、ワールドカップメンバーの年長者たちに積極的に自らアプローチしていける点。22日の冒頭に行われたボール回しでも谷村海那や齋藤俊輔ら他の初招集組やキャップ数の少ない若手は同じグループに入っていたのに対し、松木だけは伊東純也、鎌田大地、前田大然、久保建英ら森保ジャパンの主力級がズラリと並ぶグループに自ら参加していたのだ。「大地くん、建英くんだったり、代表で長くやっている選手たちのロンドのグループだったんで、そこに入っていい吸収ができればなと思った。大地くんたちとはロンドンでお会いしたりとか、いろんな関わりがあって入れたところもありますけど、自分から『やりたい』と思って入りましたね」と強心臓ぶりを見せつけたのだ。

 強靭なメンタリティ、年齢に関係なく堂々と振る舞えるところは、2000年代生まれの他の若手にはなかなか見られない部分。森保一監督も高く評価しているに違いない。「ピッチに入ったら年齢どうこうじゃないので。サッカーやっている人はみんな勝ちたいし、勝って評価されたいと思っている。今回は4試合ですけど、全部勝てるようにやっていきたいですね。それに今回は自分も含めて初招集の選手、若い選手もいますけど、W杯が終わって新しくチームが変わる中で、そういう選手の力がもちろん必要だと思う。自分もそれ以上のパフォーマンスができればいいと思っています」と松木はギラギラ感を強く押し出した。

 Jリーグ時代の松木は、メディアやファン・サポーターの期待が高すぎたせいなのか、他者に対して鎧をまとっているような印象もあった。だが、欧州で数々の苦境に直面し、荒波に揉まれた分、人間味が増し、タフさも養われたように見受けられる。この前向きな変化も、初挑戦のA代表でのパフォーマンスに好影響をもたらしそうだ。24日のウルグアイ代表戦で初キャップのチャンスが訪れるかどうかは未知数だが、松木はどのタイミングで送り出されても、堂々と自分らしさを出せる男。その底力を遺憾なく発揮し、2027年アジアカップ、そして2030年ワールドカップへの布石を打ってほしいものである。

取材・文=元川悦子