だから「酒瓶に入った闇ガソリン」を買いました…日本の常識があっさり崩壊する「海外旅行ガソリン事情」

タクシー市場拡大の”鍵”とは?

タイ旅行で便利な“足”となるのが、レンタルバイクの存在です。ただ、貸出時のガソリンは満タンという常識は通用せず、その後、日本の価値観が音を立てて崩れていく場面に遭遇するかもしれません。現地の事情を説明します。

安くて便利な海外の足、レンタルバイク!

 円安による相対的な物価高、そしてウクライナ情勢やイラン情勢に起因する燃油サーチャージの高騰で、海外旅行のハードルは高いままとなっています。それでも、日本各地からLCCが飛び、欧米圏よりは物価も安く、季節によっては高級ホテルも安価に泊まれることなどから初心者でも気負わずに楽しめる渡航先――それがタイです。

 そうしたタイのリゾートエリア滞在中に便利な“足”が、レンタルバイクです。レンタル料金は地域によって若干異なりますが、125ccクラスのスクーターの場合、1日あたり150〜250バーツ(約740〜1230円)が相場です。

 GrabやBoltなどのライドシェアが普及したことで、リゾートエリア内での移動は便利になりましたが、細かな利用が続くと出費増になりますし、利用のたびの待ち時間もストレスになります。しかしレンタルバイクなら、ライドシェアをたびたび使うよりも割安で、思ったときに思った場所へすぐに行けるのが大きな魅力でしょう。かつては海外でのバイクでの移動で大きな課題となっていた「地理不案内」も、スマホの地図アプリが解決してくれます。

日本の当たり前が通じない最初の「関門」=ガソリン!

 ただそれでも、タイでレンタルバイクをはじめて借りた人が「えっ!? どうすれば?」と迷ってしまう問題があります。それは「給油」です。

 日本のレンタカーでは「ガソリン満タン」で貸し出されることが当たり前ですが、タイのレンタルバイクは、燃料計のエンプティマークぎりぎりにしかガソリンが入っていないことが珍しくありません。そのため、借りてからすぐに給油しないと、ガス欠のおそれがあります。

 もちろん、スマホのナビアプリを使えば、ガソリンスタンドの場所はすぐにわかります。しかし問題はここからです。

 日本のガソリンスタンドで売っている油種は、「ハイオク」「レギュラー」「軽油」の3種類で、給油機やノズルには対応する油種で色分けされています。そしてレンタカーの場合、ハイオク指定でなければ、レギュラーの給油で大丈夫です。

 しかしタイのガソリンスタンドの店頭では、価格ボードに5〜6種類の油種が表示されています。しかもその表記がタイ語であることから、一般の日本人旅行者は「どれを入れればいいのかわからない」という場面に直面しがちです。

ガソリンが何種類もあるのは「混ぜてるから!!」

 じつはタイは日本とは異なり、ガソリンに一定比率のアルコールを混合した「ガソホール」という燃料が主流です。アルコールはトウモロコシやサトウキビから作られたバイオ由来のもので、化石燃料節約に役立つだけでなく、排ガス中のCO2を減らす効果もあるとされています。

 そしてこのガソホールには、オクタン価やアルコール混合率が異なるものがラインナップされています。さらにガソリンスタンドでは、ガソホール以外にも、アルコールが入っていないガソリン、軽油、プレミアム軽油も取り扱っています。そのため、価格ボードに5〜6種類が並ぶことになるのです。

 では、レンタルバイクで給油したい場合、どれを選べばいいのでしょうか。一般的なスクーターであれば、「91」と書かれたもの、つまり「ガソホール91」で適合します。ただ例外もあるので、不安であれば、借り出す際に店舗のスタッフに確認しましょう。スマホを使い「Thai gasstation price」というキーワードで画像検索して出てくる価格ボードの写真を示し、指定してもらえば、言葉の問題もクリアできます。

 また、リゾートエリアのガソリンスタンドでは、レンタルバイクで訪れる観光客への給油に慣れています。実際は多くの場合、道路からガソリンスタンドに入ったところで一旦停止すれば、スタッフが適切なブースに誘導してくれます。焦らずにその指示に従えば、大丈夫です。

近場にスタンドがない場合の「裏技」

 リゾートエリアのホテルなどが立ち並ぶ繁華街では、近隣にガソリンスタンドがなく、郊外のバイパスまで足を伸ばさなければならない場合があります。リゾートエリア内の移動で乗るのはせいぜい10〜20kmで、わずかな給油のために、郊外まで行くのは面倒だと感じる人もいるでしょう。

 そんなとき、じつは裏技があります。それは、街中の“闇スタンド”での給油です。

 タイでは、近場でさくっと給油を済ませたい人のために、ガソリンスタンドではない街の一角でも、ガソリンを小売りしています。その売り方は、ウイスキーの空き瓶にガソリンを入れ、“1本単位”で売るというものです。

 売り場はたいてい、交差点などバイクタクシーのたまり場に設けられています。オレンジ色のチョッキを着たライダーがバイクにまたがって待っている場所のそばにウイスキーの瓶が並んだ棚があれば、そこは闇スタンドなのです。給油したい場合は、その棚のそばにいるライダーに声をかけ、「One」「Two」など英語、もしくは指の数で本数を指定すればOKです。

 ただしこちらのガソリンの価格は、ガソリンスタンドよりも割高です。また歩きタバコする歩行者もいる環境のなかでの給油は、おせじにも安全ではありません。

 実際のレンタルバイクの利用シーンでは、万一のガス欠を防ぐためにも、“返却時にやや使い残すくらい”が適切であるとも言えます。

 経済性、利便性、さらに安全面を考えるのであれば、やはり最寄りのガソリンスタンドまで足を伸ばし、必要と思われる量よりもやや余分に給油することをお勧めします。