タイ、カンボジア国境に壁=昨年に軍事衝突、8キロ超整備へ

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 【バンコク時事】昨年に軍事衝突が起きたタイとカンボジアの国境地帯で、タイが壁の建設を進めている。壁の高さは約3.6メートルで、全長約8.3キロを整備する方針だ。両国は昨年12月の停戦合意後も互いに停戦違反を非難し、対立が続く。国境検問所は閉鎖され、住民生活への影響も長期化している。
 壁はカンボジアと国境を接するタイ東部チャンタブリ県に建設。タイ軍は今月10日、既に完成した区間(約1.3キロ)の壁を報道陣に公開した。
 コンクリート壁の上には鉄柵や有刺鉄線が設置されており、タイ軍関係者は軍事攻撃を防ぐほか、「密入国や密輸などの違法行為を阻止し、国境管理を強化するのが目的だ」と説明した。オンライン詐欺に関与した人物らの入国を阻む狙いもあるという。設置区間に関しては「両国が合意して画定した国境だ」と主張した。建設は来年半ばに完了する予定だ。
 長引く対立は国境地帯の住民生活に影を落としている。タイでは今月、東南アジアで広く栽培されている果実リュウガンの収穫期を迎えたが、チャンタブリ県の農家レワットさん(45)は「これまでタイ側で働いていたカンボジア人労働者が往来できず、人手不足が問題となっている」とため息をついた。タイ政府は8日、労働力不足への対応として、スリランカから最大1万人の労働者を受け入れることで合意したと発表した。
 チャンタブリ県の国境地帯で農業を営むヘイムさん(44)は、自身の農地の一部も壁の工事の影響を受けたが、安全面から「建設は受け入れている」と話す。一方で、国境地帯のカンボジア人とは長年付き合いがあり、「兄弟のような関係だ」と複雑な表情を見せた。
 カンボジア政府は壁について「一方的な建設」と述べ、国境画定の協議に影響すると反発している。AFP通信によると、カンボジアでは軍事衝突時に避難した住民2万人以上がいまだ帰還できていない。政府は避難民のために3000戸以上の住宅を建設したが、住民の多くは帰還を望んでいるという。 
〔写真説明〕タイがカンボジアとの国境地帯に建設している壁=10日、タイ東部チャンタブリ県