自衛隊「南西シフト」推進=沖縄知事選勝利で、地元に警戒も―高市政権

タクシー市場拡大の”鍵”とは?

 高市政権は、沖縄県で12年ぶりとなる保守系知事の誕生を踏まえ、南西地域の防衛力を強化する「南西シフト」を進める方針だ。軍事活動を活発化させる中国をにらんだ対応だが、地元には攻撃の標的となるリスク拡大を警戒する声もある。
 「南西諸島の防衛体制強化は日本、沖縄県民を守っていくために不可欠だ」。小泉進次郎防衛相は17日、内閣改造での留任決定を受け、首相官邸で記者団にこう強調した。
 13日投開票の知事選は、前那覇市副市長の古謝玄太氏が、現職の玉城デニー氏に勝利した。これに伴い進展するとみられるのが、平時から自衛隊や海上保安庁による利用が可能な「特定利用空港・港湾」の指定だ。
 政府は現在、全国57カ所を指定。沖縄県では、国・市管理の3施設を指定済みだが、県管理の石垣空港(石垣市)などについては、玉城氏が消極姿勢を見せていた。
 古謝氏は16日、記者団に「(指定を)進めていきたい」と表明。政府は島しょ部を中心に対象を広げたい考えだ。ただ、地元からは「軍民共用には反対だ。攻撃目標にされるリスクがある」(県議)との懸念も漏れる。
 中国の海洋進出を背景に、防衛省・自衛隊は九州最南端から沖縄・与那国島周辺にかけて体制強化を推進。2016年以降、与那国島や宮古島、石垣島などで相次ぎ部隊を編成した。
 来年3月にも那覇市を拠点とする陸上自衛隊第15旅団を師団化し、人員を約2300人から3900人へ増強する。与那国島でも、侵攻する相手航空機のレーダーや通信を妨害する対空電子戦部隊を配備するほか、30年度に中距離地対空誘導弾(中SAM)部隊を置く計画だ。
 反撃能力(敵基地攻撃能力)を強化するため、将来的に地上発射型の長射程ミサイル「25式地対艦誘導弾」を沖縄県内に配備する案もある。防衛省幹部は「決まったことは何もない」としつつ、「玉城県政では絶対に進まない話だ」と指摘した。
 もっとも、県政奪還で政権側がフリーハンドを得たわけではない。在日米軍専用施設の約7割が集中し、基地負担という重い現実を長年背負ってきた県民感情は複雑だ。別の同省幹部は「民意に一番近い基礎自治体と丁寧に向き合うことは変わらない」と語った。 
〔写真説明〕自衛隊指揮官幹部会同で儀仗(ぎじょう)隊による栄誉礼を受ける高市早苗首相(左)と小泉進次郎防衛相=2日、防衛省