戦車の“やわらかなお腹”を狙う地雷、どう処理する!? 人力から専用除去車両への発展の歴史

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分厚い装甲を誇る戦車の弱点である“底部”を狙う地雷。この厄介な敵を安全に取り除くため、さまざまな方法が試みられてきました。

戦車の装甲がもっとも弱い部分を狙う

 地雷は、人や車など触れたり近づいたりするものを無差別に殺傷する恐ろしい兵器です。対人地雷は1999年に発効したオタワ条約により、使用や製造が国際的に禁止されましたが、対戦車地雷は現在もなお、戦場において多く使用され、戦闘車両にとって脅威となっています。

 戦車は分厚い装甲に守られた兵器ですが、防護を厚くすれば重量が嵩み、動きが鈍くなるため、一部の装甲を薄くして機動性とのバランスをとっています。なかでも戦車の腹、つまり底部は装甲が薄い部分です。そのため、底部を狙われてしまうと非常に脆く、大きなダメージを受けてしまいます。また履帯はピンで固定されており、攻撃により外れ、走行不能に陥る可能性があります。

 戦車を攻撃するには底部を狙え。そう考えた時に一番効率的な兵器が、そう、地雷です。対戦車地雷は、人や動物が乗った程度の軽い衝撃では爆発しませんが、戦車などの重いものが乗ったときにはじめて爆発するようにできています。

 戦車がダメージを受けてしまえば、その戦いが不利になってしまうのは一目瞭然。そのため、戦車を運用する各国の軍隊は、地雷を効率よく除去するための装備を数多く考案してきました。地雷除去にはどのような方法があるのでしょうか?

地雷を爆破しながら進むローラー車両

 第二次世界大戦の初期、地雷の除去は人力で行われました。初期の金属探知機で地雷を探し、手作業で除去するのです。もちろん危険極まりない作業であり、戦争捕虜や少年兵が強制的に動員されたといいます。

 この方法は人道的にも問題があり、また効率もよくありません。そこで開発されたのが地雷除去戦車です。地雷除去戦車は、車高を少し高くした戦車の車体前面にローラーやハンマー、回転式の鎖や鉄球といった地雷にショックを与える物体を取り付けて、地雷を戦車の前面で爆発させながら、突き進む戦車です。

 この地雷除去戦車は、戦車としての機能もそのまま残しているため、地雷を処理しながら突き進み、そのまま敵に攻撃を加えることもできるため、非常に有効です。第二次世界大戦の時代に考案されたスタイルですが、現在の陸上自衛隊でも戦車や装軌車両の車体前面に取り付けることのできる92式地雷原処理ローラを運用中です。

 この92式地雷原処理ローラは、地雷を踏むことによって爆発する圧力式、磁気に反応して爆発する磁気反応式、枝状の差動装置に触れることで爆発する触枝式の地雷に対応するようになっています。おもに90式戦車に取り付けて運用するようにできていますが、74式戦車や89式装甲戦闘車の一部にも取り付けることができるようになっています。

爆薬で一気に通路を切り開く

 地雷除去戦車の登場で、対戦車地雷は比較的安全に素早く処理できるようになりました。また戦車ではなく、装甲車や戦闘車両以外の土木重機がベースとなった地雷除去車両も多く登場するようになり、地雷除去のペースは格段に速くなりました。

 しかしそれでもどこにいくつ埋められているかわからない地雷をひとつずつ処理していくのには大変時間がかかります。

 そこで現在、この地雷除去車両とともに、多く使用されているのが、爆薬を数珠つなぎにしたワイヤーをロケット弾にけん引させて地雷原上空まで飛ばし、爆破することで戦車が通行できる幅だけ地雷を誘爆させる方法です。また、広範囲の地雷原に対しては、気化爆弾で一帯を丸ごと爆破してしまうという戦術もあります。

 前者では、陸上自衛隊では92式地雷原処理車が活躍しています。92式地雷原処理車は、73式牽引車を改造した車体に2連装の92式地雷原処理用ロケット弾の発射機が装備されたもので、発射機の内部には数珠つなぎになった26個の爆薬がロケット弾とともに収納されています。発射後、ロケット弾の尾部からパラシュートが展開し、減速により爆薬が一列に地上へ落下するように設計されています。この方法であれば、地雷原に入ることなく、迅速で安全に通路を開削することができます。

 ちなみにこの92式地雷原処理車の略称は、正式採用当初「マインフィールド・クリアランス・ビークル」から「MCV」とされていました。しかし、16式機動戦闘車(MCV)が登場したため、「マインフィールド・ブリーチング・ロケット・システム」を意味する「MBRS」に変更したという経緯があります。ただ、あまり定着はしておらず、「マインスイーパー」などの愛称で呼ばれることの方が多いようです。