「パジェロでしょ!?」←「いいえ、違います」 韓国生まれの“ソックリさん”「ギャロッパー」の正体

雨で需要が増える業界と言えば?

三菱「パジェロ」が新型として復活しました。そんなパジェロには、かつて韓国で別の名前を名乗っていた“もう1台のパジェロ”が存在したことをご存じでしょうか。その名はヒョンデ「ギャロッパー」。どんなクルマなのでしょうか。

12年間にわたって生産された「韓国のパジェロ」

 三菱自動車の本格4WD車「パジェロ」の新型が、2026年9月に世界初披露されました。三菱ブランドを代表する車種のひとつとして高い知名度を誇るパジェロですが、韓国では長らく“もう1台のパジェロ”が親しまれていたことをご存じでしょうか。

 そのクルマは1982(昭和57)年にデビューした初代パジェロの正式なライセンス生産車で、名前はヒョンデ「ギャロッパー」といいます。手がけたのは現代精工という、現在のヒョンデモービスにつながる企業です。ギャロッパーは三菱自動車からの技術導入によって生産された、いわば「韓国版パジェロ」ともいえる存在でした。

 このギャロッパーが発表された1991年は、ちょうど日本ではパジェロが2代目へとモデルチェンジしたタイミング。外観や基本構造はほぼ初代パジェロにならった構成で、初期型は丸目のヘッドランプと角張ったボディも本家さながらでした。

 さらに、初期のモデルには5人乗りの「スタンダード」のほか、本家パジェロと同一のグレード名を持つ、7人乗りの「エクシード」も設定されていました。当時のパジェロを知る人なら、まずその姿に思わず二度見し、そしてニヤリとしてしまうことでしょう。

 また、パジェロから高い走行性能も継承したギャロッパーは韓国で大きな人気を集めました。1992年には年間2万4000台を販売し、韓国のSUV市場で5割以上のシェアを誇ったとされています。

独自のスタイルを徐々に獲得

 その後、1997年にはマイナーチェンジを受け、車名も「ギャロッパーII」に改められました。フロントマスクも斜めに構えたヘッドランプなどを持つデザインとなり、初代パジェロそのままの姿から、少しずつギャロッパー独自のスタイルへと変化していきました。

 さらに、ギャロッパーは韓国だけでなく欧州にも展開されました。ドイツでは1998年から三菱の販売網を通じて「Mitsubishi Galloper」として販売され、スペインでも「Galloper」の独自ブランドで展開されています。

 その間、日本では1999(平成11)年に3代目の三菱パジェロが登場しましたが、ギャロッパーは初代パジェロベースのまま生産を継続しました。

 しかし2001年には、実質的な後継モデルでさらに上級志向のSUVとなるヒョンデ「テラカン」が登場。ギャロッパーはテラカンに統合される形で2003年に生産を終了し、12年にわたる歴史に幕を下ろしました。

 ちなみに「ギャロッパー」という車名は、「競走馬が全力で疾走する」という意味の英語の「gallop」が由来。一方で、本家である「パジェロ」の名は、チリ・アルゼンチン地方の南部に生息する野生の猫「パジェロ」から来ています。日本では猫の名を持つクルマが、韓国では馬を思わせる車名で走っていたというわけです。