自動改札機はなぜ壊れない? 半世紀越しの技術の結晶がスゴい! 驚きの“しぶとさ”の正体

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朝も昼も夜も、駅の自動改札機は多くの人を通し続けています。なぜ、そう簡単に壊れないのでしょうか。そこには“割り切り”と地道な保守がありました。

裏では一瞬の超高速処理

 JR東日本は2027年春から、近距離乗車券をQR券に置き換え、従来の磁気券を廃止していく方針です。ここで改めて注目したいのが、毎日多くの人を通し続ける自動改札機の“丈夫さ”です。

 主要駅では一日に多くの利用者が改札を通り、改札機はそのたびにカードや乗車券の有効性を確認し、通過できるかどうかを瞬時に判定しています。人の流れを止めないためには、こうした機器が安定して動き続けることが欠かせません。

 その秘密の前に、まず改札機が一瞬で何をしているかを知ると驚きます。交通系ICカードをタッチすると、改札機はカードが本物かどうかを確認し、残高を読み取り、運賃を計算して、入場や出場の記録を書き込みます。JR東日本の技術資料では、Suicaカードは改札機で0.2秒で処理する仕様とされています。

 実はこの「速さ」と「正確さ」を支える技術は、半世紀以上前から磨かれてきたものなのです。

 日本初の本格的な自動改札機は、1967(昭和42)年に京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)千里線の終点・北千里駅に設置されたものです。鉄道向け自動改札システムとして世界で初めて実用化された事例とされており、2007(平成19)年には電気・電子分野の国際的な学会であるIEEE(アメリカ電気電子学会)から、その功績が「IEEEマイルストーン」として認定されました。

 ここで重要なのが、紙の切符を機械の中で運ぶ「搬送機構」です。磁気券は改札機に投入して処理するため、機器が複雑になり、トラブルの要因にもなります。実際、JR東日本など鉄道事業者8社も、QR券への置き換えによって、券詰まりなどの不具合解消やメンテナンス性の向上が期待できると説明しています。

 この弱点を減らしたのが、交通系ICカードやQR券のような「非接触」の仕組みです。切符を機械の中へ取り込んで送る必要がなければ、磁気券用の複雑な搬送機構に頼る部分を減らせます。鉄道事業者8社の発表でも、磁気券用の出改札機器は機構が複雑で、鉄道固有の専門性も高いと説明されています。

 動く部品や複雑な機構に頼る部分が減れば、摩耗や詰まりのリスクも減ります。「壊れにくさ」は、複雑な機構をあえて減らすことで手に入れた面が大きいといえます。

日々の点検と“弱点を先回りで見つける”しくみ

 もう一つの“しぶとさ”の正体が、こまめな保守と、壊れる前に弱点を見つける仕組みです。JR東日本メカトロサービスは、山手線を中心とする各駅に設置された自動改札機や自動券売機などを日々メンテナンスしていると説明しています。

 さらに、改札機の耐久性そのものを事前に見極める取り組みもあります。OKIエンジニアリングの導入事例では、JR東日本メカトロニクスが自動改札機の信頼性をチェックする手段の一つとして、電子回路基板の「劣化評価試験」を活用していることが紹介されています。これは長く使った基板に加速試験を行い、あと何年使えるか(余寿命)を推定するもので、その結果から部品交換や機器の更新を計画的に進められるのです。

 運賃改定のような大きな切り替えも、自動改札機を支える技術力が問われる場面です。東芝は自社のウェブサイトで、運賃改定に応じた正確でスピーディーな料金収受が事業者に求められるとしたうえで、終電後から翌朝初電までの短時間で実施される運賃切り替えには、東芝グループのメンテナンス技術が活かされていると説明しています。

 とはいえ、機械である以上トラブルはゼロにはなりません。交通系ICカードを複数枚重ねてタッチすると、正しく読み取れないことがあります。また、入場記録がないなどの理由で改札を通れない場合は、無理に進まず、駅係員に相談するのが安全です。

 そして、2027年春からのQR券への切り替えも、この“壊れにくさ”の延長線上にあります。QR券は、磁気券のように改札機へ投入するのではなく、リーダーにかざして使う方式です。鉄道事業者8社は、QR券への置き換えにより、券詰まりなどの不具合解消やメンテナンス性の向上、故障率の低減を図ると説明しています。

 毎日多くの人を通し続ける自動改札機。その裏には、半世紀以上かけて“壊れやすい部分を減らす”という工夫と、日々の保守、そして故障を予測して防ぐ新しい取り組みが詰まっているのです。