ミサイルやドローンに広く使用されている衛星測位(GPS)。しかし近年は妨害手段も発達しています。アメリカは妨害環境下でも使用可能な、まったく新しい航法システムの開発に取り組んでいます。
量子技術の利用により微細な地磁気を検知
アメリカの国防大手ノースロップ・グラマン社は2026年9月9日、同社の多用途攻撃ドローン「ランバージャック」に磁気航法システムを搭載した試験飛行を行い、これに成功したことを発表しました。
ランバージャックは、アメリカ国防総省の分類でグループ3(離陸重量600kg未満)に分類されるドローンで、地上のカタパルトや航空機から射出して用います。モジュール構造により、電子戦装置や戦術データリンク機器、監視・偵察装置、または小型誘導爆弾などを、用途に応じて搭載することができます。
今回搭載された磁気航法システムは、量子技術企業サンドボックスAQ社が開発した「AQNav」です。このシステムが利用するのは、方位測定に用いられる地球全体の地磁気(主磁場)ではなく、地殻の岩石に由来する局所的な地磁気成分(地殻磁場)です。地殻磁場は地域ごとに固有のパターンがあり、AIアルゴリズムを用いて既知の磁気マップと比較・照合することで自己位置を測定し、目標に向かいます。
地殻磁場は地球内部から発せられるため、GPSのように電波を受信する必要がなく、原理的に妨害や偽装が不可能です。ただし、極めて微弱であるため、高精度な量子磁力計と、AIによる磁気ノイズの除去を組み合わせることで、ナビゲーションを実現しています。
兵器の誘導・航法にGPSが多用される一方で、妨害技術もますます発展しています。特に遠隔地で自律的に行動することもあるドローンにとって「妨害されない航法システム」の意義は大きいと言えるでしょう。