「令和8年8月千葉豪雨」で1万台以上のクルマが被害を受けた可能性が指摘されています。これら「冠水車」の一部は中古車市場に流通しますが、実は「修復歴なし」と表示されることも。後悔しないための見抜き方を解説します。
そもそも「冠水車」は中古で売っていいの?
2026年8月13日「令和8年8月千葉豪雨」により、千葉県内では多くのクルマが冠水するなど、甚大な被害が発生しました。同県の熊谷俊人知事は8月27日、会見で「行政側が車両被害の全容を把握するのはなかなか難しいものの、民間の駐車場での被害などを含めると、被災車両は1万台を超える可能性もある」と発言しています。
台風やゲリラ豪雨により水に浸かった「冠水車」は、そのまま廃車になると思われがちです。しかし、被災したクルマのすべてが廃車になるわけではありません。部品や金属として再利用される一方、冠水したクルマが中古車市場に流通するケースもあります。
そこで気になるのが、「冠水したことが、次の購入者にきちんと伝わるのか」という問題です。
まず知っておきたいのが「冠水車」の定義です。日本自動車査定協会の中古自動車査定基準では、集中豪雨や洪水などによって室内フロア以上に浸水したもの、または浸水した痕跡によって商品価値の下落が見込まれるものを「冠水車」としています。タイヤや車体の下が濡れた程度では、冠水車には当たりません。
注意したいのは、中古車の表示でよく目にする「修復歴」との違いです。修復歴は、事故などで骨格部分を交換・修正した履歴を指します。水に浸かっただけでは骨格を直したことにならないため、冠水車でも「修復歴なし」と表示されることがあるのです。
一番いいのは「ズバリ聞くこと」
では、冠水歴がある中古車について、その旨を表示するルールはあるのでしょうか。
自動車公正取引協議会の規定を見ると、実は冠水車であることは、修復歴のように広告や店頭表示などへの明記が必須の事項にはなっていません。
ただし、冠水車であることの説明をしなかった、あるいは「冠水車ではない」と虚偽の表示などをした場合は、品質や性能などを実際よりも優良だと誤認させる「不当表示」とされます。2023年4月の同協議会の規約改定では、虚偽の表示や誤認を招くような表示の禁止が明文化され、初回から厳重警告、悪質なものには違約金という厳罰規定も設けられました。
これと前後して、冠水車に関する不当表示で実際に処分が行われた事例もあります。同協議会は2021年9月、中古車情報サイトに掲載された5台について、仕入れ時に冠水車と判断されたにもかかわらず、表示しなかった会員事業者に警告の措置をとりました。
こうしたトラブルに巻き込まれないためには、購入前に実車をよく確認することが欠かせません。実車の状態を見る際にポイントとなるのは、通常の中古車ではサビや腐食、カビなどが発生しない箇所です。例えばシートレールやペダル類のブラケット、配線のコネクターなどです。また、フロア面やカーペットなどの汚れやシミ、室内やエアコン作動時の泥やカビの臭いの有無も気を付けたい部分です。
なお、自動車公正取引協議会は2020年に、冠水車は「将来的に重大な問題が発生する可能性が非常に高く、公道を安全に走行することのできない」恐れがあるため、「中古車として消費者に販売するには適さない」という考えを示しています。価格の安さだけで飛びつかず、冠水歴の有無を販売店に直接尋ねることが、後悔しないクルマ選びの第一歩といえるでしょう。