「アンダーパス」では2026年8月や9月に発生した豪雨により、死者も出ています。それほど危険を伴う構造が、なぜ今なお作られているのでしょうか。
水没のリスクがあるのにアンダーパスはなぜ作られる?
道路や鉄道などが立体交差する際、下側の道路が地面よりも低く掘り下げられた構造を「アンダーパス」と呼びます。特に都市部ではよく見かける構造ですが、豪雨や台風の時期になると冠水してしまい、毎年のように事故車が出るという問題も抱えています。実際に、2026年8月や9月に発生した豪雨により、死者も出ています。では、それほど危険を伴う構造が、なぜ今なお作られているのでしょうか。
国土交通省によると、アンダーパスは交通渋滞の緩和や安全性の確保などを目的として整備されています。日本全国では、2025年3月末時点で、47都道府県に計3841か所あります。もちろん、立体交差を作る方法はほかにもあり、たとえば橋を架ける「オーバーパス(高架)」という手段もあります。
しかし都市部では、高架構造には土地の制約や景観への影響、騒音などの問題がつきまといます。さらに、高架よりもアンダーパスのほうが工事費を安く抑えられる場合が多く、結果として地下に掘る選択が取られるのです。
また、鉄道と交差する「無踏切化」の工事においても、アンダーパスは有利です。線路の下を車道がくぐる構造にすれば、鉄道の運行を止めずに工事ができるため、工期やコストを抑えることが可能です。
このように、アンダーパスには実用面で多くの利点があるため、水没のリスクがあるからといって、その数を減らすことはなさそうです。ただ、2026年8月14日からは、全国の直轄国道におけるアンダーパスなど、冠水のおそれのある箇所102か所を対象に、排水設備などの緊急点検が実施されるなど、アンダーパスの危険性を改めて確認する動きも起きています。
では、ドライバー側が危険な場所を避けるには、どうしたらいいのでしょうか。JAF(日本自動車連盟)や地方自治体は、豪雨時のアンダーパスの通行について、定期的に注意喚起を行っています。豪雨時には、「この先、道路冠水のおそれあり」などの標識がある場所には極力近づかず、回避行動をとるよう呼びかけています。
特に激しい雨のときは、わずか数分でアンダーパスが水没することもあります。低い位置にあるため周囲の雨水が集まりやすく、排水ポンプが一時的に機能を失うと、一気に冠水してしまうためです。
また、夜間には浅い水たまりと見間違えて車で進入してしまい、水没事故につながることもあります。視界が悪い状況では特に危険性が高まるため、豪雨時は不要不急の運転を控えるのが賢明です。
ちなみに、国土交通省は2025年にアンダーパスの全国の数を公表しています。その資料によると、都道府県別で最も多いのが埼玉県の270か所、2位が新潟県の231か所、3位が愛知県の175か所となっています。
1位の埼玉県は、2位の新潟県(231か所)を大きく上回っています。埼玉県では人口や交通量が多いことに加え、鉄道網も発達しており、踏切による渋滞や事故を解消するため、道路と鉄道の立体交差化が進められてきました。こうした都市交通事情が、アンダーパスの多さにつながっていると考えられます。