ナフサ不足の影響が「16式機動戦闘車」にも!? 中東での戦火が日本の防衛産業・自衛隊装備を直撃か

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2026年8月下旬、陸上自衛隊の駒門駐屯地に納入された新車の「16式機動戦闘車」。通常は緑と茶の2色迷彩のはずが、なんと緑一色でした。異例ともいえる単色納入の背景には、世界的な物資不足の影響があるようです。

迷彩じゃない16式機動戦闘車が陸上自衛隊へ納入

 2026年8月下旬、静岡県御殿場市の陸上自衛隊駒門駐屯地に、16式機動戦闘車の新車が納入されました。

 通常、こうした迷彩塗装の指定がある防衛装備品が防衛省/自衛隊へ納入される際は、メーカーによって迷彩塗装が施されてから引き渡されます。16式機動戦闘車であれば、緑と茶の2色が用いられますが、その製造元は三菱重工業なので、同社が迷彩塗装を施す義務を負います。

 例外として試作車などが単色で納入されるケースもありますが、極めて稀です。

 しかし、この日に駒門駐屯地へと納入された新車の16式機動戦闘車は、量産車ながらなんと試作車のごとく緑一色(単色)でした。なぜ、このような事態になったのでしょうか。

 筆者(武若雅哉:軍事フォトライター)が調べたところ、これにはナフサ不足に由来する塗料の供給不足やコスト上昇が大きく関係している模様です。その背景には2026年2月から始まったイスラエルとアメリカによるイラン攻撃および、イランによるホルムズ海峡の封鎖に起因する、物資不足の影響がありました。

 ホルムズ海峡は世界的なエネルギー取引において重要なポジションを占めています。ペルシア湾沿岸国は世界でも指折りの石油産出国であり、大量の石油などを乗せた輸送船舶はペルシア湾から外洋に出るために、このホルムズ海峡を通過します。

 この海上交通の要衝であるホルムズ海峡がイランによって封鎖されたことで、世界中で石油化学製品の原料となる「ナフサ」が不足しているのです。

 日本も2026年4月頃からナフサ問題が表面化し、多くの産業でナフサが足りないと叫ばれていますが、この影響が防衛産業の基幹でもある三菱重工業にも及んでいるのでしょう。

 16式機動戦闘車は2016(平成28)年度に初めて調達を開始して以降、2025(令和7)年度まで10年にわたって計255両が調達されていますが、ほぼすべての車両が緑と茶からなる迷彩塗装で防衛省/自衛隊へと引き渡されています。

 なお、今回納入された16式機動戦闘車がいつまで単色のままなのかは不明です。

 陸上自衛隊には全国に160か所以上の駐屯地・分屯地がありますが、その多くに整備工場が設けられるとともに、車両用の塗料が常備してあります。そのため、駒門駐屯地でも、メーカーである三菱重工業から引き渡された後で、所在部隊の手で迷彩塗装へと変更することは可能です。

 当然そうした対応も考えられるものの、実際に現場で行うのか、それともしばらくこのまま運用されるのか、定かではありません。ただ、いずれにせよ、世界的なナフサ不足が日本の防衛産業にも大きな影響を与えているのは間違いなさそうです。