10年前に利用者の減少で閉鎖された「トラックステーション」の一つが、異例の再開に向け動いています。全国的にも施設が老朽化していますが、復権するのでしょうか。
閉鎖されていたトラックステーションが復活
全日本トラック協会が、閉鎖された「トラックステーション」の一つを再開すべく準備を進めています。異例ともいえる復活劇の背景には何があるのでしょうか。
トラックステーションは一般道の幹線道路沿いなどに設けられたトラックドライバー向けの休憩施設です。全日本および各地のトラック協会などが運営しているもので、大型車の駐車スペースを備えた休憩施設が少なかった昭和の時代から整備が進みました。
なかには宿泊施設や浴場、休憩室、食堂などを備えるところもあり、トラックドライバーの福祉施設としての側面ももっています。しかし、大型車も停められる「道の駅」なども増えるなか、トラックステーションは年々減少し、今ある施設の老朽化も進んでいます。
こうしたなかで再開が予定されているのは、山口県の「防府トラックステーション」です。ここは利用者の減少に伴い2016年に廃止され、建屋も残ったまま、閉鎖されています。
「工事が順調に進めば2026年12月に再開の見込みです。浄化槽、トイレ、照明のリニューアル、駐車場の白線引きなどを進めています」(全日本トラック協会)とのこと。古い建屋は残したまま、駐車場とトイレのみで再開するといいます。
背景にあるのが、深夜帯を中心とした高速道路SA・PAなどの駐車マス不足です。防府トラックステーションの近くには、駐車マスの拡張工事も行われた山陽道の佐波川SAがありますが、周辺は「全然足りていない」のが実態だそうです。
「防府トラックステーションは山陽道の防府西ICと防府東ICの中間に位置していて立地もよく、再開したら使ってくれるのではないかと、協会の道路施設委員会で決まりました。一度は利用者の減少で閉鎖された施設ですが、利用意向調査には約500件の声が寄せられ、多くは『再開してくれれば使う』と前向きな声でした。(駐車マス不足に)少しでも足しになればと思います」(全日本トラック協会)
ほかにも再開しないの?
トラックステーションの施設は一般利用もできます。あるステーションを実際に利用してみると、駐車場だけ使い、トラックのなかで寝泊まりしているドライバーも多く見られたので、駐車場だけの再開でも意義はありそうです。
しかしながら、防府の他に再開の予定はないといいます。防府の場合は「たまたま土地建物がそのまま残っていたから」という側面もあるようです。
トラックステーションは現在、全国に22か所あります。廃止された場所の多くは、交通事情が変わって使いづらくなった結果、維持費を考慮して閉鎖したケースとのこと。老朽化が進む既存施設のリニューアルについても、財政的な余裕はないのが実態だそうです。
ただ、2023年10月に国土交通省の有識者審議会「第59回国土幹線道路部会」で、全日本トラック協会の寺岡洋一会長(当時は副会長)が、「道の駅を対象とした『高速道路の休憩施設の不足解消に向けた社会実験』に、トラックステーションを加えてほしい」と発言したことがありました。
ETC2.0搭載車に限り、指定のICで高速道路を一時退出してIC近くの道の駅を利用しても追加料金がかからないようにする社会実験に、トラックステーションを加えて欲しいというものでしたが、このときは委員からも好意的に受け止められていました。
その後、社会実験の対象にトラックステーションは加わっていないものの、継続して国に要望を出している地方のトラック協会もあります。今回の防府の再開も、トラックステーションの“復権”につながっていく可能性もあります。
【廃墟そのまま!?】これが「復活するトラックステーション」の現況です(写真)