八代伝統の祭り、行列を中止=復興優先で苦渋の縮小―ユネスコ無形遺産・熊本地震

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 熊本県を襲った地震は、江戸時代から続く八代市の伝統行事「八代妙見祭」にも大きな影響を及ぼした。最大の見どころ「神幸行列」が中止となり、関連行事の縮小も決定。神社や祭りを支える市民の被災状況を踏まえ、生活再建を優先する「苦渋の決断」だった。
 八代妙見祭は八代神社(妙見宮)の秋の例大祭で例年11月下旬に開催。豪華な装飾の笠鉾や亀と蛇が合体した「亀蛇(きだ)」のほか、歴史装束を身にまとった約1600人が市内を練り歩く神幸行列は、2016年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されており、県内外から例年約15万人の見物客が集まる。
 7月の地震では、神社の本殿は大きな被害を免れ、市の展示施設に保管されていた笠鉾などの出し物も無事だったが、行列の起点となる神社境内の地面が隆起し、楼門も倒壊した。
 神社や主催団体などは、伝統行事の実施に向けて協議を重ねた。ただ、参加する市民の多くが被災して準備がままならない上、見物客の安全確保も難しいことから今月3日に中止を決めた。行列の中止はコロナ禍と熊本豪雨に見舞われた20年に次いで3回目で、無形文化遺産登録から10周年の記念事業も取りやめとなった。
 同神社の小林雄彦宮司(42)は「地域での神社や祭りの在り方を考えながら、来年に向けて復旧を進めたい」と強調。被害を受けた建物の修復などに向け、クラウドファンディングで支援を募っている。
 毎年のように参加しているという同市の志垣明生さん(65)は「子どもの時から毎年の楽しみ。この祭りがないと正月を迎えられない」と語る。だが「今は皆生活が大変。今回ばかりは仕方なかね」と声を落とした。 
〔写真説明〕地震により崩れた楼門を見詰める八代神社の小林雄彦宮司=8月26日、熊本県八代市
〔写真説明〕八代妙見祭の最大の見どころ「神幸行列」の様子。亀と蛇が合体した「亀蛇(きだ)」などが八代市内を練り歩く(八代神社提供)
〔写真説明〕地震による被災状況について話す八代神社の小林雄彦宮司=8月26日、熊本県八代市