広島駅にも店舗を構える名店「むすび むさし」には、唐揚げすら入っていない「俵むすび」。ほぼ、おにぎりです。「さすがにおかずが欲しくなるのでは……」と思いながら食べたところ、完全に考えを改めることになりました。
唐揚げもエビフライもナイ!のに…
広島駅の駅弁といえば、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。筆者が最近ドハマりしているのが、広島の老舗「むすび むさし」です。過去に同店の「若鶏むすび」をいただき、そのおいしさに惚れました。しかし、そんな「むさし」で今回あえて購入したのは、唐揚げすら入っていない「俵むすび」。ほぼ、おにぎりです。「さすがにおかずが欲しくなるのでは……」と思いながら食べたところ、完全に考えを改めることになりました。
今回購入した「俵むすび」は900円。カロリーは610kcalです。1000kcalにも届いていないので、筆者の基準では実質おやつです。しかも購入時には温かい状態で提供されました。
フタを開けると、名前の通り俵型のおむすびがズラリ。しば漬け、おかか、たくあん、梅、昆布などが添えられています。唐揚げもエビフライもありません。見た目だけなら非常にシンプルです。しかし、一口食べた瞬間、「待って、なんだこの塩加減」となりました。
おむすび単体で食べているはずなのに、物足りなさがほとんどありません。絶妙に塩が効いており、おにぎりとして成立しているのはもちろん、もはや「おかず」としても成立しているような味です。それでいて、塩辛さが先行するわけでもありません。ある意味、おにぎりとしての完全体です。
そして何より、米がうまいのです。ツヤッツヤで、噛むほどに米そのものの甘さが出てきます。タレや塩だけで食べさせるのではなく、米自体の主張が強い。そのため、一般的なおにぎりより少し強めに感じる塩加減でも、味が崩れません。むしろその塩気が米の甘さを引き立てており、自然としっかり咀嚼したくなります。おにぎりではあるのですが、筆者が普段食べている「おにぎり」とは何かが違います。
さらに面白いのが、しば漬け、おかか、たくあん、梅、昆布といった、極めてスタンダードな具材しか使っていないことです。珍しい高級食材が入っているわけではありません。それなのに、それぞれをおむすびと一緒に食べると、これがやたらとおいしく感じます。ちょっと意味が分かりません。
「俵むすび」の正しい楽しみ方?
実は購入する直前まで、筆者は「さすがにおにぎりだけでは寂しい」と思っていました。そのため、筆者が同店で愛してやまない唐揚げが入った「安芸むすび」にしようか、かなり迷ったのです。しかし、食べて分かりました。この「俵むすび」は、もはや“ご飯”という脇役の領域を超えています。
もちろん、「安芸むすび」でこのおむすびと唐揚げを組み合わせれば、どんな化学反応が起きるのかも気になります。というより、かなり危険な組み合わせになる予感しかしません。ただ、基本的な駅弁に入っているおかず程度では、この「俵むすび」の存在感には勝てないでしょう。主役級のおかずを用意するより、むしろおむすびだけをじっくり味わう。ある意味、それがこの弁当の最適解なのかもしれません。
派手な具材も、巨大な肉もありません。それでも「米と塩と定番の具材だけで、ここまで食わせるのか」と驚かされました。前回食べた「若鶏むすび」では唐揚げの完成度に衝撃を受けましたが、今回は「そもそも、むさしは米が強い」という、もっと根本的なところを見せつけられた気がします。
しかも、よく考えてみれば唐揚げをはじめとした揚げ物はゼロ。610kcal。米をしっかり食べて、梅や昆布まで摂取しています。これはもう、筆者の普段の食生活と比較すれば「実質」ではなく、かなり本気の健康食といえるでしょう。
おかげで、その日の夜に広島グルメを腹がはち切れるまで食べるための、貴重なカロリーの余白を確保することができました。健康的な食生活って、こういうことなのかもしれません。